1994 Fiscal Year Annual Research Report
脳毛細血管内皮細胞における血液脳関門関連膜蛋白の発現機構と病態生理
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06671397
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池崎 清信 九州大学, 医学部, 助手 (10145360)
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Keywords | 血液脳関門 / 脳腫瘍 / 神経膠細胞 / P糖蛋白 / γ-GTP / 血管新生 / 血管内皮細胞 / 成長因子 |
Research Abstract |
当初ヒト培養系内皮細胞株の樹立を試みたが、血液脳関門特有の機能蛋白、構造を温存したまま継代する事が困難であったため、まずヒト脳腫瘍血管における血液脳関門関連蛋白及び酵素であるP糖蛋白とγ-GTPの発現を免疫・酵素組織化学的に検討した.その結果1.多剤耐性遺伝子mdr産物であるP糖蛋白は正常脳の毛細血管に発現しており、さらに神経膠腫においても腫瘍血管の内皮細胞に発現していたことから、脳腫瘍における化学療法を考える上で新たな克服すべき問題点があることが判明した.2.γ-GTPの発現もP糖蛋白と同様の結果を示し、神経膠腫では血液脳関門の機能が保たれている場合が多いことが明らかとなり、化学療法に対して抵抗性を示す一因と考えられた.一方、髄膜腫・聴神経鞘腫・転移性能腫瘍などの血管にはこれらの蛋白は発現しておらず、神経膠細胞からの因子が関与していると考えられた.そこで腫瘍血管新生をきたす成長因子(bFGF,TGF-α,-β,VEGF)の発現につき、各種脳腫瘍組織手術標本を用いて遺伝子レベルで検討した.その結果、1.これらの成長因子の内、VEGFの発現のみが神経膠腫と髄膜腫において、腫瘍組織における血管数と統計的有為さをもって関連していた.2.他の血管成長因子も発現されており、血液脳関門の機能に関する神経膠細胞由来の特異的な因子はいまだ明らかではない.つぎに、ラット中大脳動脈閉塞モデルを用いて、梗塞巣、周辺脳組織内の血管形成とP糖蛋白とγ-GTPの発現、脳浮腫の形成過程を計時的に検討した.その結果、1.梗塞後3日目にP糖蛋白発現血管は消失し、脳浮腫がピークに達した.2.同時期にP糖蛋白未発現の新生血管が現れ、5日〜8日目にかけて反応性膠細胞の出現と合わせて新生血管の成熟が起こりP糖蛋白を発現した.3.γ-GTPの発現もP糖蛋白の発現と同様の結果を示し、あらためて血液脳関門の形成には血液脳関門関連蛋白及び酵素であるP糖蛋白とγ-GTPの発現と神経膠細胞からの因子が関与していると考えられた.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ikezaki,K.: "Differential expression of P-glycoprotein on capillary endothelial cells in brain tumors with neuronal origin" J Cereb Blood Flow Metabol. 13. S28- (1993)
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[Publications] Matsukado,K.: "Selective increase in blood-tumor barrier permeability by calcium antagonists in transplanted rat brain rumors" Acta Neurochir. 60. 403-405 (1994)
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[Publications] Samoto,K.: "P-glycoprotein expression in brain capillary endothelial cells after focal ischemia in the rat" Acta Neurochir. 60. 257-260 (1994)
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[Publications] Samoto,K.: "P-glycoprotein expression in brain capillary endothelial cells after focal ischemia in the rat" Neurol Res. 16. 217-223 (1994)
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[Publications] Ikezaki,K.: "Selective and prolonged MRI enhancement by Mn-TPPS in an experimental rat brain tumour with peripheral benzodiazepine receptors" Neurol Res. 16. 393-397 (1994)
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[Publications] 池崎清信: "脳腫瘍血管における選択的局所血流量と透過性の調節" 病態生理. 13. 657-662 (1994)
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[Publications] Samoto,K.: "Expression of vascular endothelial growth factor and its possible relation with neovascularization in human brain tumors" Cancer Res. 55(in press). (1995)