1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671418
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橘 滋国 北里大学, 医学部, 助教授 (60104535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 誠 北里大学, 医学部, 助手 (60216687)
山崎 義矩 北里大学, 医学部, 助手 (20210403)
北原 行雄 北里大学, 医学部, 講師 (40177861)
飯田 秀夫 北里大学, 医学部, 講師 (20159560)
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Keywords | chronic compression myelopathy / epidural compression / cancer / partial demyelination / oligodendroglia / nakid axon / spinal cord / posterior colunen |
Research Abstract |
1.目的:臨床的に慢性圧迫性病変は除圧で長索路神経症状の改善が期待できる。このことは白質病変が可逆的変化である時期が存在することを意味しているが、今日まで明確な検討はなされていない。この白質病変の主座を解明することを目的とし、以下の実験モデルをを作成し検討した。 2.対象・方法:近交系Fisher-344ラットを用い、DMBA(7,12-dimetylbenz(a)anthracen)経口投与にて作成した乳癌F株を同種ラットの胸椎椎弓骨膜下に移植。脊髄麻痺を完成させた後ネンブタール麻酔下に灌流固定、脊髄白質(後索)を中心に病理学的検索を行った。 3.結果:当初、圧迫時間の長期化を目的に麻痺完成後も可及的に延命し、灌流固定を行ったが、病理学的観察を行うべき脊髄は圧迫のため灌流液が浸透せず失敗に終わった(平成6年)。そこで、麻痺完成後早期(一週以内)に麻酔下に灌流固定し、良好な資料作成が得られた。脊髄麻痺完成には6-10週を要した。(光顕での観察結果)腫瘍は脊髄を硬膜外から圧迫し、硬膜内への腫瘍細胞浸潤はなかった。脊髄は圧迫され変形しているが、HE染織、髄鞘染織ともに著明な変化はなく、貧食細胞浸潤も観察されなかった。(電顕での観察結果)一例の圧迫部位のごく一部で軽度の軸索腫脹を認めたが、全体的には軸索の変化はなかった。また、圧迫部位頭側の頸髄後索にはWaller変性は観察されなかった。病変の主座は圧迫部位での髄鞘の崩壊であった。髄鞘内には著明な浮腫液の貯留があり、ミエリン薄片は層状構造の破壊が著明で、時に大径線維のミエリン消失が観察されたが、この崩壊には貧食細胞浸潤の関与は観察されなかった。Ranvier's nodeでの髄鞘崩壊は軽微である。また、乏突起膠細胞の核は保たれているが細胞内に浮腫液の貯留が観察された。大膠細胞の突起増生は観察されなかった。 4.結論:本モデルは慢性圧迫性病変における麻痺完成後の初期脊髄病変の観察に適している。病変の主座は乏突起膠細胞の浮腫と髄鞘崩壊(partial demyelination)であることが証明された。
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