1995 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期における海綿静脈洞および同洞への環流静脈の発達-X線解剖学的手法による解析
Project/Area Number |
06671430
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
橋本 昌典 産業医科大学, 医学部, 助手 (50198694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥寺 利男 秋田県立脳血管研究センター, 副研究局長
横田 晃 産業医科大学, 医学部, 教授 (80040583)
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Keywords | 海綿静脈洞 / 胎児 / 発達 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、海綿静脈洞(CS)の胎生期発達過程をヒト胎児剖検例の脳・頭蓋標本を用いて検索した。検索方法は、経静脈的に造影剤を注入した標本を超軟X線立体拡大撮影によってX線学的に観察する方法と、CS部の骨ブロックを取り出し組織学的に検索する方法を用いた。前年度に行っていたCS部の顕微鏡下解剖(microscopic dissection)は、月数の若い胎児標本では神経と軟部組織の分離や硬膜静脈洞の展開が困難になったために中止して、前述の組織学的方法に変更した。これらの検索方法によって、胎生月数別に標本の観察を行いCS部の発達過程を検討した。結果の概略は次の通りである。 1)CS部は胎生期の始まり(3ケ月)には、内頸動脈周囲の粗な静脈叢として認められるが、静脈環流路としては未発達である。 2)4〜5ケ月で、CS部に叢状の静脈路が発達し、眼窩静脈とinferior petrosal sinusを連絡する静脈環流路として認められる。この時期に左右のCSを結ぶintercavernous sinusが出現し、脳軟膜静脈からの流入も認められる。また、CS内では静脈路と硬膜および脳神経との関係が明確になる。 3)6ケ月以降は、CSの叢状の静脈が収束されて数本の大きな静脈となり、眼窩と頭蓋内を連絡する成人型の静脈環流路が形成される。 当該研究年度で資料標本の作成は完了したが、標本の観察検索はまだ不十分である。更に検索を重ねて、固体差の大きい静脈洞の発達過程の詳細を明らかにしたうえで、研究成果を発表する予定である。
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