1994 Fiscal Year Annual Research Report
遅発性神経細胞死と低体温の保護作用.-虚血後の遺伝子発現からみた検討-
Project/Area Number |
06671431
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Research Institution | Institute of Brain and Blood Vessels |
Principal Investigator |
菅 貞郎 (財)脳血管研究所, 脳神経外科, 講師 (10171117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 幸男 その他部局, 助教授 (30138119)
柚木 和太 神経内科, 講師 (80103422)
佐藤 周三 脳神経外科, 助教授 (50129459)
美原 盤 神経内科, 病院長 (30190721)
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Keywords | 神経細胞死 / 脳虚血 / 遺伝子発現 / 細胞内情報伝達系 / 低体温 / 分子生物学 / 脱燐酸化酵素 |
Research Abstract |
本年度は即初期遺伝子産物および脱燐酸化酵素の脳虚血後の発現と低体温の虚血に対する保護作用を検討し、さらに予備実験として低体温が遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。 (1)即初期遺伝子産物ならびに脱燐酸化酵素(PP)の発現 Fos,Junの免疫組織学的検討の結果、Fosは2分虚血後1時間から3時間にかけて海馬歯状回、CA3に発現したが、CA1には発現しなかった。5分虚血でも1時間から6時間にかけて同様の発現をした。Junは2分虚血後3時間から6時間にかけて海馬歯状回、CA3に発現し、興味深い事にCA1で6時間後に発現した。5分虚血では3時間から12時間にかけて海馬歯状回、CA3で同様の発現をしたが、CA1では発現しなかった。この結果、FosはCA1では発現せず、細胞死との関連は少ないと考えられた。一方Junは細胞死を免れる2分虚血でCA1に発現していた事により、逆に細胞の生存に必要な遺伝子である可能性が示唆された。 PPに関してはWestern blotを行った。PPはいくつかのsubtypeに分類されるが今回は、PP1α、PP1γ、PPlδ、PP2Aについて検討した。Cortex,Striatum,CA1,CA3の各部位にて虚血後PP1α、PP1δ、PP2Aの発現は低下したが、PP1γは増加していた。 (2)虚血中低体温の保護作用の組織学的検討 5分間前脳虚血において、虚血中35℃に維持した低体温群ではCA1における神経細胞死の抑制効果が認められた。 (3)低体温が即初期遺伝子産物発現に及ぼす影響 Fos,Junの発現に関して、5分間の前脳虚血中の低体温負荷を行った。その結果、本来5分虚血ではCA1においてはJunの発現は認められなかったが、低体温負荷後では発現が認められた。 以上の結果より、低体温は海馬CA1における神経細胞死を抑制する。この機序に即初期遺伝子産物Junの発現が関与していると考えられた。またPPはsubtypeによって虚血後の発現に差があり、今後免疫組織学的検討を含め、さらに検討が必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Ogino,S.Suga: "Jun expression is a possible survival marker of hippocampai CA1 neurons after transient ischemia under hypothermic conditions" J Cereb Blood Flow Metab. 15(in press). (1995)
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[Publications] T.Horiguchi,S.Suga: "Expression of serine/threonine protein phosphatase in gerbil brain:Effect of transient ischemia" J Cereb Blood Flow Metab. 15(in press). (1995)