1995 Fiscal Year Annual Research Report
医原性二次性脊髄神経障害の病態馬尾癒着の成立機序と機能生理学的変調および対策
Project/Area Number |
06671445
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松井 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (20173784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 昌彦 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20204547)
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Keywords | 腰神経根 / 椎弓切除術 / 癒着性脊髄膜炎 / 血管透過性 / 栄養供給 |
Research Abstract |
ウイスター系雄ラットに対して、第5および第6腰椎の椎弓切除後、硬膜外にカオリンを付加し、手術後12週経過したものをカオリン群とし、非手術群をコントロール群とした。集合・癒着した馬尾への3H-metyl-glucose移行の変化について、静注3分経過後の各組織(血液、脳脊髄液、馬尾、坐骨神経、傍脊柱筋)のDPMを液体シンチレーションカウンターで測定し比較検討した。 コントロール群(N=3)では脊髄、坐骨神経において他の組織よりもカウント測定値比(血液の測定値に対する比)が高い値を示した(各々血液の18.5±2.8%、19.2±5.5%)。一方、馬尾、傍脊柱筋では低い値を示し(各々血液の13.8±0.7%、12.6±4.2%)、血行からの栄養供給は脊髄や抹梢神経に比べ馬尾では少ないものと考えられた。 コントロール群(N=3)と比較しカオリン群(N=3)では馬尾、脊髄のカウント測定値比が増大している傾向にあった。馬尾ではカオリン群がコントロール群に対し、1.90倍(コントロール群平均13.8±0.7%、カオリン群平均26.3±23.8%)で、脊髄では1.41倍(コントロール群平均18.5±2.8%、カオリン群平均26.3±23.8%)であった。一方筋肉、坐骨神経、脊髄液においてはコントロール群、カオリン群ともに同様の値を示した。(筋肉においてはコントロール群平均12.6±4.2%、カオリン群平均11.2±9.1%、坐骨神経においてはコントロール群平均19.2±5.5%、カオリン群平均22.6±6.6%、脊髄液においてはコントロール群平均26.9±20.0%、カオリン群平均25.4±7.9%)。以上よりカオリン群では硬膜外炎症反応と呼応して血管透過性が亢進し、より多くの糖が血管外へ移行している、もしくは脳脊髄液からの糖移行障害があり血行による代償作用が行われていると推察された。 同様にして脳脊髄液中へ3H-metyl-glucoseを注入し、脳脊髄液から馬尾への栄養供給の変調を観察しており、組織学的な馬尾癒着の程度との相関を現在検討中である。
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