1995 Fiscal Year Annual Research Report
関節軟骨の無定形最表層と変形性関節症との関連性についての研究
Project/Area Number |
06671450
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 千益 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40205464)
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Keywords | 関節軟骨 / 最表層 / 変形性関節症 / 実験的関節症 / 軟骨下骨 / ウサギ |
Research Abstract |
【ウサギの膝の靱帯機能不全による変形性関節症での関節軟骨の無定形最表層および軟骨下骨の変化の観察】 ウサギの右膝の前十字靱帯と内側側副靱帯の切離後2週間で、関節軟骨の無定形最表層は不整となり、一部で欠損しその下の表層のコラーゲン線維網が露出していた。軟骨実質部では、サフラニンOの染色性の低下、細胞の増多や集簇形成などの変性や、関節面周辺部からの増殖滑膜による関節軟骨の置換が始まっていた。術後1ヵ月半では、軟骨の消化変性は表層から深部へ進み、所々で亀裂や潰瘍を形成していた。骨形態計測上有意な軟骨下骨の増殖性変化は、この時期より明らかとなった。術後3ヵ月と6ヵ月では、軟骨の変性と軟骨下骨の増殖が進行し、関節全体として著しい変形を呈した。この実験的関節症では、術後2週間の早期より、軟骨の最表層の不整、表層の消化変性が見られ、軟骨下骨の変化は、これより遅れ、術後1ヵ月半以降に有意な変化を呈した。 【ウサギの膝の関節表面擦過により変形性関節症が発生するか調べる実験】 ウサギの右膝の関節軟骨表面の擦過後2週間では、最表層は欠損しその下のコラーゲン線維網が露出していた。軟骨は染色性が低下し、表層の消化が見られ、関節面周辺部から滑膜による軟骨の置換が始まっていた。術後1ヵ月半では、軟骨の消化変性が進み菲薄化し、一部で潰瘍を形成していた。術後3ヵ月では、軟骨はさらに菲薄化し、一部では骨が露出していた。6ヵ月および1年時では、さらに関節症性変化が進行していた。関節軟骨表面の擦過後1年までの経過で、進行性の関節症性変化を認めた。これは、軟骨下骨に達しない軟骨の損傷では、進行性の変化を生じないとする従来の定説に反するものである。おそらく、擦過による軟骨表面の損傷の範囲が広範であったために、この様な差を生じたものであろう。本実験系は、新しい実験的関節症モデルといえよう。
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[Publications] 小林 千益: "軟骨表面を擦過した関節の潤滑のヒアルロン酸投与による変化" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 17(発表予定). (1996)
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[Publications] Kobayashi S: "Cryoscanning electron microscopy of loaded articular cartilage" Journal of Anatomy. 188(発表予定). (1996)
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[Publications] Kobayashi S: "Cryo-scanning electron microscopic study of the surface layer of articular cartilage in loaded condition" Transactions of the 2nd Combined Meeting of ORSs of U. S. A., Japan, Canada, and Europe. 58-58 (1995)
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[Publications] Kobayashi S: "Cryo-scanning electron microscopic study of the surface amorphous layer of the articular cartilage" Transactions of the 2nd Combined Meeting of ORSs of U. S. A., Japan, Canada, and Europe. 298-298 (1995)
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[Publications] 小林 千益: "関節軟骨の最表層の生化学的研究:インデンテーションにより荷重した関節軟骨での検討" 日本整形外科学会雑誌. 69. S1323-S1323 (1995)
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[Publications] 小林 千益: "関節軟骨の無定形最表層の関節表面擦過による変化" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 16. 337-340 (1995)
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[Publications] Kobayashi S: "Cryoscanning electron microscopic study of the surface amorphous layer articular cartilage" Journal of Anatomy. 187. 429-444 (1995)
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[Publications] 小林 千益: "酵素処理した関節軟骨の形態学的変化の凍結走査電子顕微鏡による観察" 日本整形外科学会雑誌. 68. S1585-S1585 (1994)
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[Publications] 小林 千益: "凍結走査電子顕微鏡による関節軟骨の無定形最表層の乾燥による影響の研究" 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 37. 897-901 (1994)
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[Publications] 小林 千益: "凍結走査電子顕微鏡による力学的負荷に対する関節軟骨の形態学的変化の観察" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15. 175-178 (1994)
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[Publications] 小林 千益: "凍結走査電子顕微鏡による関節軟骨の無定形最表層の観察" 日本整形外科学会雑誌. 67. S1645-S1645 (1993)
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[Publications] 小林 千益: "関節軟骨表層の形態のトポグラフィー的変化-凍結走査電子顕微鏡による研究-" 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 36. 1217-1224 (1993)