1994 Fiscal Year Annual Research Report
骨膜の神経分布と骨折治癒過程におけるNeuropeptideの役割
Project/Area Number |
06671468
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
齋藤 知行 横浜市立大学, 医学部, 講師 (30170517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 晃 横浜市立大学, 医学部, 助手 (20244436)
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Keywords | 骨膜 / 神経分布 / 骨折治癒 / ニューロペプタイド |
Research Abstract |
これまでに変形性膝関節症10症例の手術時に7mm四方の矩形に骨膜を採取し、Zamboni固定液で固定後、凍結保存した。膜構造であるために切片の作成および染色中のスライドグラスからの薄切切片の剥離に難渋したが、poly-L-lysinをcoatingにより切片の染色中のスライドグラスからの剥離を防止することができた。骨膜内のneural elementの分布を調べるためにまずneurofilamentに対する抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。骨膜の浅層では神経は血管に伴走し、深層では自由神経終末を分枝していた。その中にはsubstance P陽性の神経終末も認められた。ラットの骨折実験では、生後8から10週のラットを左大腿骨中央で5mmの骨欠損を作成したが、変形治癒を来すものが多かった。そのため、手術手枝を一定にさせるため、吸収性のピン(absorbable pin)を欠損部に介在させ、骨折部の不安定性を維持した。その結果、手術後4週で骨癒合し、2週では用手的に不安定性が確認され、偽関節実験動物モデルを確立した。骨折部が不安定であるため、固定は腹大動脈からカテーテルを挿入しZamboni固定液を注入する灌流固定法を用いて、下肢組織を固定し、標本を採取した。固定後、冷10%EDTA溶液で脱灰し、洗浄後、OCT compoundで凍結標本を作成した。cryostatで15μmの薄切切片とし免疫組織化学染色を行った。 組織学的観察結果から、骨膜は関節滑膜とほぼ同様の分布様式を示し、中胚葉由来組織では同様の神経の分布様式を有することが明らかとなった。Subsrance P陽性自由神経終末を認めたことにより骨膜はnociceptorを有する侵害受容性の組織であることが明らかとなった。骨折実験仮骨形成部にも神経終末の存在が確認され、今後、術後5、10、15、20日で屠殺し、採取した標本を用いてneuropeptide陽性神経終末の仮骨部での発現頻度をそれぞれの時期で定量的に比較検討し、動物実験モデルで末梢の骨の不安定性による物理的刺激によりその陽性神経終末の出現頻度の相違について検討を行う。
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