1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671473
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
川上 守 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (20195051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 哲也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30009592)
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Keywords | 髄核 / 線維輪 / 疼痛 / 痛覚過敏 / pH / インターロイキン / phospholipase A2 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
平成6年度の研究目的は椎間板組織が疼痛を惹起するかどうかをラットを用いて、行動薬理学的に検討することにあった。ラット腰部硬膜外腔に移植した同種ラットの椎間板組織は尾部に痛覚過敏を惹起した。処置後1、2週に髄核移植群では圧刺激に対する痛覚過敏が、髄核ならびに線維輪を移植した群では熱刺激に対する痛覚過敏が出現した。Shamや同種脂肪移植群では両刺激に対して正常反応を示した。すなわち、椎間板組織内に含有する何らかの物質が痛覚過敏すなわち、動物実験における"疼痛"が惹起されることが判明した。つぎにこの痛覚過敏の機序を解明する目的で以下の研究をおこなった。椎間板ヘルニアのpH低下が神経根症発現に関与するとの報告があることから移植組織内のpH変化を径時的に計測した。しかしながら、いずれの群でもpH変化は認められなかった。また、組織化学、免疫組織化学を用いて移植組織内のサイトカインの一つであるinterleukin(lL)、phospholipase A_2(PLA_2)、nitric oxide synthase(NOS)の有無を観察した。痛覚過敏を示めさなかった脂肪移植群でも移植片内にlLが観察されたことやこの脂肪移植が同種移植であったことから異物反応のような単なる免疫機序やサイトカインが椎間板による疼痛発現に関与しないことが明白となった。PLA_2やNOSの存在が処置後1、2週の移植髄核や線維輪周辺に認められた。これらの物質は薬理学的に痛覚過敏を引き起こすことが示されていることからこの椎間板組織が引き起こす疼痛発現にPLA_2や一酸化窒素のような物質が関与する可能性がある。今後はこれらの物質に対するantagonistsを用いて痛覚過敏の変化を検討し、新しい保存的治療法確立の一助とする予定である。
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[Publications] 川上 守: "腰部椎間板ヘルニアの疼痛発現機序-硬膜外髄核移植による知覚過敏-" 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 37. 1215-1216 (1994)
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[Publications] Mamoru Kawakami: "Disc materials produce pain-related behavior in the rat" Transaction of Orthopedic Research Society. 42. 666- (1995)