1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト軟骨細胞の機械的ストレスに対する分子生物応答性に関する研究
Project/Area Number |
06671482
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Research Institution | Juntendo University School of Medicine, Deparyment of Orthopedic surgery |
Principal Investigator |
山内 裕雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (00052994)
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Keywords | 細胞外マトリックス / フィブロネクチン / 接着分子 |
Research Abstract |
軟骨細胞は細胞外マトリックス(ECM)に囲まれて存在するため、それらが接着分子を介して、軟骨細胞の機能維持、あるいは変性において重要な働きを担っていると考えられている。また変形性関節症(OA)や慢性関節リウマチ(RA)において関節液中および軟骨組織中のフィブロネクチン(FN)量の上昇が明らかとなっており、軟骨破壊と修復の調節に対する関与が示唆されている。そこで、FNの軟骨細胞に及ぼす影響を明らかにするため接着分子の発現およびフィブロネクチン受容体を介したヒト軟骨細胞からのサイトカイン産生能に及ぼす影響について検討した。また軟骨細胞に対して力学的ストレスが及ぼす影響に関しても合わせて検討を行った。 軟骨細胞においてFACSを用いた解析により、VLA-1,2,3,5の発現を認めた。またECMに対する接着実験では、ビトロネクチン、ラミニン、typeI,II コラーゲン、FNに結合し、FNに対する結合は抗α5,β1抗体により阻害されることが明らかとなった。軟骨細胞を各種細胞外マトリックス存在下で培養するとFNにおいて、IL-6およびGM-CSFの産生上昇が認められ,この産生上昇は抗α5,β1抗体により阻害された。 培養皿上で円盤を回転させることによりせん断力加える実験では、せん断力を加えた群でIL-6,ICAM-1の発現上昇、VCAM-1の発現減少を認めた。 これらの結果から、軟骨細胞においてVLA-5を介したFNへの接着によりIL-6,GM-CSFの産生能の上昇が認められることが明らかとなった。IL-6,GM-CSFは軟骨細胞の増殖能および軟骨基質産生に関与することが報告されており、FNが軟骨破壊と修復の調節において、重要な役割を果たしていることが示唆された。また液性因子だけではなく力学的ストレスによってもサイトカイン、接着分子の発現が変化することがわかった。今後、さらに接着分子の機能解析を行い、抗体あるいはアンチセンスを用いることにより軟骨細胞の変性が制御可能かどうか検討を加える予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yonezawa,I. Yamauch,Y. et al: "VLA-5-Mediated Interaction with Fibronectin Induces Cytokine Production by Human Chondrocytes" Biochemical and Biophysical Research Communications. (in press). (1996)