1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671486
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
持田 譲治 東海大学, 医学部, 講師 (50174347)
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Keywords | 椎間板変性 / 髄核 / 再挿入 |
Research Abstract |
成熟Wistar系ラット尾椎に作成した椎間板ヘルニアモデルより経皮的に摘出した髄核部分を、プログラムフリーザ-による-80℃への緩徐な凍結と、急速凍結の両方法を用いて保存した。37℃で急速に解凍した髄核組織内の細胞成分は両方法ともに正常髄核組織に比べ減少し、合胞体形成や多核細胞の集族などの変性性変化が観察されたが、その程度は急速凍結法で顕著であり、基質の染色性も著しく減少していた。従って、dimethyl sulfoxideを含むMEM Eagle液に5時間浸透させた後の緩徐凍結法が合理的であった。 髄核摘出後にこの髄核組織の再挿入をおこなった椎間板と、再挿入をおこなわずに変性促進のための長軸方向の負荷を加えた椎間板の変性状態を線維輪、軟骨透明帯(終板)、残存する髄核組織ごとに検討したところ、再挿入の有無による椎間板変性は明らかに差がみられた。すなわち、髄核の非再挿入群では、線維輪の走行の逆転、途絶、終板の赤染性の低下、コンドロイチナーゼA、B、Cによる残余髄核の染色性の低下など、が明らかに認められ、凍結後解凍された髄核(細胞組織としては正常ではない)の再挿入がその後の椎間板の経時的変性変化を明らかに抑制することが判明した。隣接する正常椎間板からの新鮮髄核の再挿入実験(すでに報告ずみ)の結果と今回の凍結髄核の再挿入による結果を定量的に比較することはなお困難であるが、線維輪、軟骨透明帯の変性抑制効果は凍結髄核においても再現性が高く、臨床応用の一法として選択されうる可能性が示された。
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