1996 Fiscal Year Annual Research Report
組織酸素代謝からみた敗血症性多臓器不全の治療に関する研究
Project/Area Number |
06671506
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
織田 成人 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (90204205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 兼一 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (60282480)
大竹 喜雄 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (50194189)
菅井 桂雄 千葉大学, 医学部, 助教授 (10187627)
平澤 博之 千葉大学, 医学部, 教授 (80114320)
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Keywords | 敗血症性多臓器不全 / 組織酸素代謝 / トノメーター / 胃粘膜内pH / 循環管理 |
Research Abstract |
本研究は、敗血症性多臓器不全における細胞障害の一因となっている組織酸素代謝障害を的確に評価し、これを改善する方法を見いだすことにより、敗血症性多臓器不全に対する新しい治療法を確立することを目的としている。本年度は、現在までの敗血症性多臓器不全の病態における組織酸素代謝障害の検討をふまえ、臨床例において、組織酸素代謝障害の新しいモニタリング法としてのgastric pHiの有用性を検討するとともに、重症敗血症症例において組織酸素代謝の指標を目標とした循環管理を行い、その効果を検討した。その結果、gastric pHiは敗血症性ショックによる低血圧や嫌気性代謝による血中lactateの上昇がおこる以前に、compensated shockの状態を検出可能であり、敗血症における組織酸素代謝モニターとしてきわめて有用であることが示唆された。一方、敗血症性ショック早期よりの組織酸素代謝改善をめざした循環管理の効果を検討するため、重症敗血症例において、酸素供給量600ml/min/m^2、酸素消費量170ml/min/m^2の目標値を設定し、十分な初期補液と積極的なカテコラミン投与による循環管理を施行した。その結果、細胞障害が軽度な敗血症性ショップ早期の症例においてはショックからの離脱と細胞障害度の改善が認められた。しかし、すでに高度細胞障害を呈している症例に対しては、これらの循環管理のみでは改善が認められず、組織での酸素摂取障害に関与していると思われる各種のhumoral mediatorに対する対策が重要であると考えられた。本年度の研究によって、gastric PHiが敗血症における組織酸素代謝障害を早期に知りうる有用なモニタリング法であること、組織酸素代謝の指標を目標とした循環管理は、敗血症早期の細胞障害の予防や治療に有効であるが、いったん重症多臓器不全に陥った症例に対しては組織での酸素摂取障害を改善するための新たな治療法を確立する必要があるとの結論を得た。
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[Publications] 平澤博之: "組織酸素代謝の失調からみた敗血症性多臓器障害とその対策" PTM. 8(5). 5 (1996)
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[Publications] 志賀英敏,他: "Compensated shockeとgastric pHi" 集中治療. 9. 131-132 (1997)