1994 Fiscal Year Annual Research Report
Preemptive Analgesiaの基礎的研究,ラット神経損傷モデルを用いて.
Project/Area Number |
06671507
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 達郎 千葉大学, 医学部, 助手 (20200818)
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Keywords | Preemptive analgesia / nitric oxide / neuropathic pain / cholecystokinin / morphine |
Research Abstract |
初年度は、動物実験モデルとしてラット坐骨神経を4回軽く結紮して作成する絞扼性神経損傷モデルを用いて検討を行った。以前、NMDAレセプター拮抗薬であるMK-801を神経損傷前に投与すると、神経損傷後の異常感覚発症が遅れることを報告してきたので、まずNMDAレセプターのsecond messengerと考えられている一酸化窒素(NO)の合成酵素阻害薬(NOS inhibitor)を神経損傷前に髄腔内に投与し、その発症に及ぼす効果を検討した。NOS inhibitorを神経損傷前に投与しておくと異常感覚発症は遅れるが、神経損傷直後に投与しても、異常感覚発症には影響しなかった。また、この効果はL-arginineにより拮抗されるが、D-arginineでは拮抗されなかった。このことは、NMDAレセプター拮抗薬髄腔内投与時に見られた現象と同様であり、神経損傷後の異常感覚発症における脊髄のNMDAレセプターの作用は、NOを介していることが示唆された。次に、近年神経損傷時に脊髄に誘導されてくると報告されてきているcholecystokinin(CCK)について検討した。CCK-Bレセプター拮抗薬であるYM022を神経損傷直前に髄腔内投与しても、異常感覚発症になんら変化は見られなかった。このことは、CCK-Bレセプターは、神経損傷後の異常感覚発症に大きな役割をしていないことを示唆するものであろう。また、モルヒネを神経損傷前に髄腔内投与した際も、異常感覚発症に変化は見られなかった。これらの結果より、NMDAレセプター拮抗薬によるpreemptive analgesia達成の可能性があるが、CCK-Bレセプター拮抗薬やモルヒネによるpreemptive analgesia達成は難しいであろうことが示唆された。 今後、alpha-2レセプター作動薬・GABAレセプター作動薬・adenosineレセプター作動薬などを用いて、さらに検討を加えていく予定である。
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