1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝MnSODおよびメタロチオネインの発現部位からみたエンドトキシン肝障害の機序
Project/Area Number |
06671523
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
板野 義太郎 岡山大学, 医学部, 助手 (30127542)
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Keywords | メタロチオネイン / MnSOD / エンドトキシン / 肝 / in situ hybridization |
Research Abstract |
エンドトキシン(LPS,5mg/kg)をラットの腹空内に投与し,0,3,6,9,12,18,24,48時間後に、断頭、脱血し、肝よりGuanidine/CsCl遠心法により全RNAを抽出した.In situ hybridization(ISH)は野地らの方法で行った。 Northern blotの結果より、肝内MnSODmRNAはLPS投与3時間後より誘導が認められ、投与9-24時間後で最も強い誘導が認められたが、48時間後にやや減少した.Metallothionein(MT)mRNAは、LPS投与3時間後より誘導が認められ、6-12時間後で最も強い誘導を示し、18時間以後は漸滅し、48時間後では検出されなかった。 ISHの結果では,MnSODmRNAは3時間後から門脈内皮細胞に,MTmRNAは肝小葉全域に認められ、6時間後にはMnSOD,MTともに肝小葉全域にシグナルを認めた。とくにMnSODは細胞浸潤の見られた領域の周囲に強いシグナルが、変性領域では弱いシグナルが見られた。9-18時間にかけてMnSOD,MTいずれも健常肝細胞では強い誘導が、変性領域では弱い誘導が、壊死領域では誘導が認められなかった。24時間後にはMTは障害領域の周囲の健常細胞にのみ強く認められ、他の健常細胞や障害領域には誘導されなかった。48時間後に肝組織はほぼ正常に回復し,MTの誘導は認められなかったが,MnSODの誘導は部分的に認められた。 血中OCT値,GOT値が投与後24時間以降減少し48時間でほぼ正常値まで回復していることから、18-24時間の間に肝障害の進行期から修復期へ移行していると思われる。MnSODmRNAがLPS投与初期の門脈内皮細胞に発現し、次いで障害領域の周囲に強く発現したこと,MTが投与初期にはほぼ全域に、回復期には縮小しつつある障害領域の周囲に強く発現したことは,LPS肝障害の初期にはMnSODが、後期(回復期)にはMTが重要な役割を果たしていることが示唆された。
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