1994 Fiscal Year Annual Research Report
新生児における人工呼吸モードの換気パターン及び換気力学的解析
Project/Area Number |
06671524
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
時岡 宏明 岡山大学, 医学部・附属病院 (90127572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 実 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10243510)
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Keywords | 人工呼吸 / 換気力学 |
Research Abstract |
小児、特に新生児における人工呼吸は、患者の自発呼吸に同期しない換気モードが行われており、人工呼吸器と患者の非同調性のため有効な換気が行われていない欠点を抱えている。一方、最近導入された pressure support ventilation(PSV)は、患者の自発呼吸に同期して作動する点で、従来の小児に用いられてきた換気モードと全く異なる。本研究は、新生児におけるPSVの有効性を、換気パターン、換気力学、同調性、ガス交換能などの面から検討した。 対象は、生後7日から1カ月以内の手術後の新生児8例で、平均体重3.0kgであった。換気モードはPSVを用い,PSVレベルは,0,5,10cmH_2Oとした。 測定は、換気諸量と血液ガス分析を行い、同調性の評価のために respiratory inductive plethysmography(RIP)を用いて、胸郭運動による換気量(RC)と腹部運動による換気量(Ab)、1回換気量、さらにRCとAbの和である maximal compartment amplitude(MCA)、および胸郭と腹部の運動の位相のずれを測定した。 結果は、PSVレベルの増加に伴い、1回換気量は増加、呼吸数は低下した。分時換気量は有意な変化を示さなかったが,PSVレベルの増加により吸気流速は増加し,duty cycleは低下した。ガス交換能に関しては,PSVレベルの増加により PaO_2は変化なく,PaCO_2は低下傾向であった。同調性の指標である MCA/1回換気量は、PSV0,5,10cmH_2Oで、それぞれ平均1.30、1.05、1.00であった。PIRによる換気パターンの解析では,PSV0cmH_2Oで、8例中5例0.05秒から最大0.6秒、胸郭運動の遅れによる位相のずれが生じたが,PSV10cmH_2Oでは全く位相のずれはなかった。一方、PSVレベルの増加により相対的な胸郭運動の割合が増加した。このことより、吸気時の胸郭運動の遅れによる位相のずれが,MCA/1回換気量の低下の原因であり,PSVがこの非同調性を著明に改善させることが明らかとなった。 結論として、新生児時におけるPSVは、換気パターン、換気力学、ガス交換能の面から問題なく使用でき、さらに同調性の改善が著しいため、今後の新生児における換気モードとして非常に有用と考えられる。
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