1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671542
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
湯佐 祚子 琉球大学, 医学部, 助教授 (30032329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 幸男 琉球大学, 医学部, 教授 (70073070)
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Keywords | 急速減圧 / 減圧症 / 気泡 / 血液脳関門 / 脳微小循環 / 脳虚血 / Maturation phenomenon / 脳内glutamate |
Research Abstract |
空気により6絶対気圧迄加圧-90分間保圧後急速減圧したラット脳で、減圧後15分から72時間迄の脳障害として血管透過性の変化(Evans blue漏出によるBBBの破綻)、微小循環障害(Indian inkの非充えい状態)及び組織学的所見を経時的に検討した後、減圧後の高気圧酸素再圧の効果を比較検討した。その結果:1.経時的変化1)Evans blueの漏出が減圧直後より発現し減圧後60分迄に可逆性に正常化したが、48時間以後再び発現した。2)脳血管の非充えい部も減圧直後より発現し減圧後3時間迄に可逆的に正常化したが、72時間後に再び広範囲に発現した。3)減圧直後より発現した大脳皮質の浮腫、血管周囲腔の拡大及び神経細胞の変性(dark neuron)は減圧後3時間迄に正常化したが、48時間以後再び増加した。2 急速減圧直後の高気圧酸素再圧の効果1)Evans blueの漏出は出現しなかった。2)墨汁の非充えい部は72時間後まで認められた。3)組織学的観察でも高気圧酸素再圧48-72時間後に微小循環障害を示す血管周囲腔の拡大とdark neuronが出現した。以上より減圧後早期の可逆性の変化は血管内微小気泡による影響が考えられたが、48時間以後の変化は減圧直後の一過性脳虚血によるmaturation現象の可能性が示唆され、更に高気圧酸素再圧後も微小循環の障害が残存することが示唆された。更にmaturation現象の原因としての一過性脳虚血の、脳内glutamateと脳血流に関与するnitric oxide(NO)の影響を脳虚血-再灌流モデルで検討し、不完全脳虚血-再灌流後の一過性の脳血流量増加は早期に回復するが、NOS inhibitor投与では動脈圧は上昇するに対し脳血流量は低下し、glutamate levelも減少した。完全前脳虚血-再灌流後では、対照群と比較してNOS inhibitorにより再灌流後の反応性充血は抑制されたが、再灌流後は脳血流量の低下とglutamate levelの高値が認められた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 湯佐祚子: "減圧症(潜水病)について" 沖縄県医師会報. 317. 39-45 (1995)
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[Publications] 湯佐祚子: "脳虚血再灌流後の脳血液量に及ぼすL-NAMEの影響" Journal of Anesthesia. 9. 350- (1995)
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[Publications] 野原 敦: "急速減圧ラット脳における経時的変化、第二報" 日本高気圧環境医学会雑誌. 30. 25- (1995)
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[Publications] Toshiko YUSA: "Effects of nitric oxide synthase(NOS) inhibition on CBF and glutamate release after cerebral ischemia-reperfusion" The 2nd Annual Meeting of Oxygen Society,Abstract. 132- (1995)
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[Publications] 湯佐祚子: "前脳虚血-再灌流の脳血流及びglutamate遊離に及ぼす影響とnitric oxideの関与について" Journal of Anesthesia. 10. (1996)