1995 Fiscal Year Annual Research Report
ショック時における腹腔臓器酸素代謝の解明と腹腔臓器蘇生法の確立
Project/Area Number |
06671548
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉岡 真美 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10230690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 優人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20260797)
中川 美穂 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00244583)
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Keywords | 酸素代謝 / ショック / 腹腔臓器 |
Research Abstract |
研究者らは、雑種成犬を用いて各臓器別にCritical oxygen deliveryと、Critical oxygen extractionを算出することにより酸素運搬面からみた腹部臓器の低灌流ストレスに対する耐容性について検討した。肝臓における酸素抽出能は平常時においては16%と全身の24%に比して低いのに対し、低灌流状態においては飛躍的に増大しCritical oxygen extractionは91%に達し極限まで酸素抽出を行なう特性があることが判明した。一方で消化管におけるCritical oxygen extractionは56%であり、低灌流状態における酸素抽出能が非常に悪く、酸素の取り込み障害が発生していることが推察された。腹部臓器内においても肝臓と消化管では酸素代謝に大きな差異が存在し、酸素代謝面から見ると肝臓は低灌流ストレスに強く、一方で消化管は比較的弱い臓器であり、ショック時におけるTraget organになりうると類推できた。以上の結果は第22回日本集中治療医学会サテライトシンポジウムにおいて報告した。この結果を踏まえて、大腸菌エンドトキシンを用いて臨床状態に近似したエンドトキシンショックモデルを作成し、非エンドトキシン血症時における酸素運搬能と差異を検討した。エンドトキシン血症時においては末梢血管抵抗の低下(正常時に比べて10%の低下)が認められるとともに、酸素代謝面では、心停止直前まで肝静脈血及び門脈酸素飽和度が低下せず、肝臓及び消化管におけるCritical oxygen extractionはそれぞれ約10%低下した。このことは低灌流状態における腹部臓器酸素抽出能が傷害されていることを示唆するものであった。本研究は継続中であり、来年度中にも実績として報告できる見込みである。
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