1994 Fiscal Year Annual Research Report
高張ナトリウム・デキストラン製剤の出血性ショック後心機能に及ぼす効果の研究
Project/Area Number |
06671557
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
荻野 隆光 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30214042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 雅良 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20180622)
鈴木 幸一郎 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30122427)
小濱 啓次 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30098610)
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Keywords | 高張ナトリウム・デキストラン製剤 / 出血性ショック / 心収縮性 / 左室内圧-容積ループ / 左室収縮末期圧-容積関係 / 左室拡張末期容積-仕事関係 |
Research Abstract |
目的:本研究は,出血性ショックに対する高張ナトリウム・デキストラン製剤(Hypertonic Saline Dextran以下HSDと略す)の一回少量投与(4ml/kg)が,単に出血性ショックに伴う血管内容量の減少を改善する効果以外に,心機能への影響がどれだけあるか評価することを目的とした。 方法:従来の各種心収縮性指標は前負荷,後負荷,心拍数依存性に変化するため,出血性ショックのように心臓の負荷条件が変化する時には心機能を評価することが極めて困難である。そこで,我々は各種循環動態の指標を測定すると同時に,前・後負荷に影響されることなく心収縮性を評価することが可能な,左室内圧-容積ループから求められる左室収縮末期圧-容積関係および左室拡張末期容積-仕事関係を用いて心収縮性を評価した。 結果:測定装置の装着手技がかなり困難であったことから,満足のいく測定結果が得られた動物数はHSD投与群5例であった。出血性ショックによって減少した心拍出量,左室拡張末期圧および同容量(前負荷の指標),左室収縮末期圧(後負荷の指標)は,HSD投与によりショック作製前値に回復し,その後2時間まで同値を維持した。なお心拍数に有意な変動は認めなかった。 左室収縮末期圧-容積関係および左室拡張末期容積-仕事関係から得られた心収縮性指標は,HSD投与直後から2時間後までショック作製前値と有意差を認めなかった。 考察:以上の結果よりHSDの少量一回投与は出血性ショック後の一時的な循環動態改善に有効であることが明かとなったが,HSDは出血性ショック後の心収縮性改善効果はないと考えられた。しかし,本研究は全身麻酔下の実験結果であり麻酔薬の影響でHSDの心収縮性に及ぼす効果が相殺された可能性は否定できない。今後はコントロール群(生理食塩水投与群)の実験を行ないHSD投与群と比較検討する必要があると考えられた。
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