1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671603
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
嘉村 康邦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50220744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 直人 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (80254035)
鈴木 孝行 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40192132)
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Keywords | カルシウムイオン / 膀胱平滑筋 / 筋収縮 / プロテインキナーゼC / カルシウム非依存性収縮 / 細胞内カルシウム濃度 / 細胞内情報伝達機構 / プロテインキナーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
ウサギおよびヒトの膀胱平滑筋々切片を用いたorgan both studyでEGTAを含むCa-free溶液中でもカルバコールやプロスタグランディンE_2等の受容体作動薬による刺激で収縮することを確認し得た。また、同一の条件下でPKC活性化物質であるホルボールエステルで刺激しても収縮張力が得られた。収縮張力の大きさは、ウサギでは高カリウム収縮(Ca^<2+>を含む溶液中)の約3〜7%であった。一方、ヒトでは20〜30%で、種差のあることが判った。さらに、ウサギ血管平滑筋ではCa非依存性収縮が高カルウム収縮の80〜230%と非常に大きく臓器差のあることも推定された。同時に行った細胞内Ca濃度促成(Fura-2)ではCa非依存性収縮の際、Ca濃度の変動はほとんど観察されず従来のCa^<2+>→CaM→MLCKを介した筋収縮とは異なった機序の関与が示唆された。 ヒト膀胱で前立腺肥大による下部尿路閉塞のあったものや、二分脊椎で神経因性膀胱を呈していたものなどのいわゆる病的膀胱ではCa非依存性収縮が正常膀胱に比し大きい印象を持っている。この事は症例数がまだ少なく、統計学的処理もできない段階で断定できないが、今後興味のある検討課題であると考えている。膀胱拡大術や膀胱全摘出術などの際、患者の同意を得た上で、病的ヒト膀胱平滑筋のCa非依存性収縮をさらに詳しく評価していきたい。各種プロテインキナーゼ阻害剤を用いた実験ではCaM阻害剤W-7や、MLCK阻害剤ML-9は、Ca依存性収縮を著明に抑制するものの同じ用量のW-7はML-9はCa依存性収縮を全く抑制しなかった。一方、PKC阻害剤であるH-7は5〜30μMの範囲内でCa依存性収縮に影響を与えなかったのに対し、Ca非依存性収縮の方を著明に抑制した。以上より膀胱のCa非依存性収縮についても、PKCの活性化が関与しているものと考えられた。
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