1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671603
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Research Institution | FUKUSHIMA MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
嘉村 康邦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50220744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝行 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40192132)
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Keywords | カルシウムイオン / 膀胱平滑筋 / 筋収縮 / プロテインキナーゼC / カルシウム非依存性収縮 / 細胞内カルシウム濃度 / 細胞内情報伝達機構 / プロテインキナーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
Ca^<2+>非依存性収縮における細胞内情報伝達の解析に主眼をおいた研究を行った.カルモジュリン阻害剤およびプロテインキナーゼ阻害剤を用いた収縮実験では,W-7(calmodulin inhibitor),ML-9(myosin light chainekinase inhibitor)ともに カルバコールによるCa^<2+>非依存性収縮を抑制しなかったのに対し,H-7(protein kinase C inhibitor)はこの収縮を強く抑制した.従ってCa^<2+>非依存性収縮は Ca^<2+>依存性収縮におけるCa^<2+>/Calmodulin/MLCK systemを介する反応ではなく,プロテインキナーゼCの活性化が関与した収縮であると考えられた.カルバコールによるムスカリン受容対刺激がホスフオリパーゼCを介して イノシトール三リン酸(IP_3)およびジアシルグリセロール(DG)を産生することが知られており,このDGが内因性にプロテインキナーゼCを活性化するとされていることから カルバコールによるCa^<2+>非依存性収縮もこの系によるのではないかと推察された. skinned fiber標本による検討では ヒト膀胱平滑筋のskinningに技術的問題があり実施し得ず,代わってcaffeineを用いた検討を行った.EGTAを含むCa^<2+>-free溶液中のヒト膀胱平滑筋筋切片にcaffeineを投与し細胞内Stored-Caを放出させた後でも,全く同一のカルバコールによるCa^<2+>非依存性収縮が認められた.すなわち,細胞内Stored-Caは本収縮には関与していないものと思われた. ヒト膀胱のCa^<2+>非依存性収縮の生理的意義は不明であるが,膀胱平滑筋固有の張力維持などに役立っている可能性があるかもしれない.また,病的膀胱の活動性抑制にカルシウム拮抗薬の効果が不十分であるという臨床からの所見は,この系路が病態整理と関係していることを示唆する.
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