1994 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンレセプターの協同的ステロイド結合に対する調節因子の研究
Project/Area Number |
06671626
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小宮 雄一 山形大学, 医学部, 講師 (70234888)
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Keywords | エストロゲンレセプター / 化学的架橋 / positive cooperativity |
Research Abstract |
ヒト子宮エストロゲンレセプター(ER)が,化学的架橋剤dithiobis(succinimidylpropionate)(DSP)処理により,分子量,親和性,最大結合数,positive cooperativityに対してどのような影響を及ぼすかについて検討した. 1.DNA結合性ERの調整段階において,従来必要とされていたリガンドが存在しない状態でも,ERは尿素によりtransformされることが明らかになった. 2.DNA結合性ERの特異性を検討する目的でcompetitive binding assayを施行したところ,estrone・estriol・testosteroneなどに比べ,17β-estradiol(E_2)及びdiethylstilbestrolとより特異的に結合することが明らかとなった. 3.DSP処理したERを^3H-tamoxifen aziridineでラベルし,還元剤を用いない方法でSDS-PAGEを施行し,migration distanceを解析したところ,分子量は134kDaで二量体ERを形成していることが判明した. 4.DSP処理した二量体DNA結合性ERのE_2結合に対する特性を検討するためにequilibrium binding assayを施行し,得られた結果をScatchard及びHillの方法で解析した.ER濃度1nM以上では,Hill係数1.40±0.06とpositive cooperativityを示していたが,DSP処理後のHill係数は1.07±0.03とpositive cooperativityは有意に(p<0.001)減少或いは喪失していた.しかし,Kd値はDSP処理前4.31±1.98nM,DSP処理後3.23±1.16nMと有意差なく,親和性には影響を及ぼさなかった.さらに,Hill係数とKd値についてはDSP濃度により影響を受けなかったが,最大結合数についてはDSP濃度が高くなるほど減少する傾向が認められた. 以上の結果より,DSP処理による化学的架橋により共有的に結合した二量体ERはアロステリック効果を示さず,低濃度のホルモン存在下においても高親和性の状態で安定していることが明らかとなった.
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