1995 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンレセプターの協同的ステロイド結合に対する調節因子の研究
Project/Area Number |
06671626
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Research Institution | Yamagata University School of Medicine |
Principal Investigator |
小宮 雄一 山形大学, 医学部, 講師 (70234888)
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Keywords | エストロゲンレセプター / 銅イオン / 亜鉛イオン / positive cooperativity / 化学的架橋 |
Research Abstract |
ヒト子宮エストロゲンレセプター(ER)が,銅イオン(Cu(II))および亜鉛イオン(Zn(II))の添加により,親和性,最大結合数,positive cooperativityに対してどのような影響を及ぼすかについて検討した. 1.サイトゾール画分をsingle stranded DNA affinity chromatographyにより精製したDNA結合性リガンド非結合型ER(DNA-ER)(≧1nM)にZnCl_2(100μM)を添加し,equilibrium binding assayを施行し,得られた結果をScatchardおよびHillの方法で解析した.その結果,Zn(II)はERの親和性,最大結合数,positive cooperativityに影響を与えないことが判明した. 2.DNA-ER<1nMでは,ZnCl_2添加により最大結合数には変化を及ぼさなかったが,ZnCl_2濃度に依存してKd値は増加した.しかし,還元剤dithiothreitol(DTT)の添加により親和性は回復した. DNA-ER(≧1nM)にCuSO_4(100μM)を添加すると,positive cooperativityは消失し,最大結合数は減少した.親和性の低下はわずかに認められた.この結果は,平成6年度に報告した化学的架橋剤であるdithiobis(succinimidy lpropionate)(DSP)(1mM)にて処理した結果に一致していた.すなわち,Cu(II)はERに対してDSPと同様の影響を及ぼすことが判明した. 4.DNA-ER<1nMでは,CuSO_4添加により濃度依存性に親和性は低下し,最大結合数は減少した.しかし,還元剤DTTの添加により,親和性,最大結合数ともに回復した. 以上の結果より,Cu(II)とZn(II)はERに対してそれぞれ異なる影響を及ぼすことが明らかとなった.また,Cu(II)の添加された二量体ERは,化学的架橋剤DSP添加時と全く同様にpositive cooperativityを減少させたことより,Cu(II)はERのpositive cooperativityの調節に関与する因子のひとつであることが明らかになった.
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