1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671636
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
土岐 利彦 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20175475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 信吾 信州大学, 医学部, 教授 (30135579)
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 助手 (20235493)
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Keywords | 卵巣腫瘍 / 粘液性腫瘍 / 胃粘膜 / 性ステロイド受容体 / 子宮頚部腫瘍 / 悪性腺腫 |
Research Abstract |
卵巣の粘液性腫瘍は,他の卵巣上皮性腫瘍が卵巣表層上皮から発生するといわれているのに対して,奇形腫性の消化管上皮も起源として考えられている。われわれは,卵巣の粘液産生腫瘍の組織発生を再考察するために,粘液性腫瘍における胃型粘液および性ステロイドホルモン受容体の発現を組織化学的に検討した。さらに,卵巣粘液性腺腫と類似する形態を呈する子宮頸部悪性腺腫に着目し,これについても胃型粘液と性ステロイドホルモン受容体の発現を検討した。その結果,卵巣粘液性腫瘍には,「頸管型上皮」および「消化管型上皮」の他に「未熟な立方上皮」がしばしば認められ,これら3種の上皮は相互に密接な関係をもつものと考えられた。これらの中で,「頸管型上皮」ではestrogen receptor(ER)・progesterone receptor(PR)と胃型粘液の発現が同一腫瘍に認められた。「消化管型上皮」には,ER・PRおよび胃型粘液の発現がほとんど認められず,形態的類似性から大腸粘膜型上皮への分化を示していると思われた。「未熟な立方上皮」は,粘液陰性,ER・PR強陽性で,卵巣の「表層上皮封入のう胞」に類似することから,この「未熟な立方上皮」が卵巣粘液性腫瘍の発生母地であり,「頸管型上皮」および「消化管型上皮」は,「未熟な立方上皮」が二次的に粘液分泌能をもち,頸管腺・胃・大腸など,種々の粘膜上皮の形質を発現してきているものではないかと考えられた。さらに,悪性腺腫では全例で胃型粘液の発現が認められただけでなく,正常の頸管腺上皮では発現するER・PRの発現が認められなかった。したがって,悪性腺腫では,固有の頸管腺上皮の分化は失われ,胃粘膜上皮への分化が発現しているものと思われた。
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[Publications] Toki T.,et al.: "Proliferative activity of postmenopausal endometriosis:A histopathologic and immunocytochemical study." Int J Gynecol Pathol. 15. 45-53 (1996)
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[Publications] Toki T.,et al.: "A clinicopathologic study on the association of endometriosisand carcinoma of the ovary using a scoring system." Int J Gynecol Cancer. (印刷中).