1995 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞浸潤における細胞膜酵素と細胞外マトリックスに関する研究
Project/Area Number |
06671639
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 隆夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (20107808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 浩 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40178330)
寺尾 俊彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60022852)
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Keywords | uPA / PAI-1 / PAI-2 / APC |
Research Abstract |
癌細胞の浸潤、転移には腫瘍の産生するurokinase type plasminogen activator(uPA)とそのinhibitorであるplasminogen activator inhibitor(PAI)の役割が重要しされている。In vitroの実験ではuPAはPAI type 1(PAI-1)と結合することによりPlasminogen activatorとしての役割を抑制されることが知られている。しかしながら腫瘍の細胞膜表面においてはuPAはその特異的受容体であるuPA receptor(uPA-R)と結合して存在し、さらにはPAI-1あるいはPAI type-2(PAI-2)と結合している。このことは細胞膜上においてはuPAはPlasminogen activatorとしての役割を消失していることを示しており、このことは臨床的に腫瘍に含まれるuPA量あるいはPAI-1量が多いほど再発や転移が多いとする報告と矛盾している。そこで我々は本研究において、1)PAI-1とcomplexを形成しているuPAと結合しているuPA-Rはinternalizationにより細胞内に取り込まれること。それに引き続き腫瘍細胞のDNA合成が盛んになることを見い出した。2)細胞膜表面における細胞膜外マトリックスを分解するためにはuPAがPlasminogen activatorとしての機能が保持されていることが不可欠である。このことは胎盤より抽出した絨毛細胞を用いた実験により、uPA/PAI-1 complexに対し、activated Protein C(APC)を加えることによりPAI-1/APC complexが形成されることにより、uPAがPlasminogen activatorとしての機能をふたたび示すことを確認した。また、uPA/PAI-2 complexには一時的にPlasminogen activatorを消失するものの時間の経過にともなってPAI-2の一部がdegradationを起こし、uPA/PAI-2 complexより遊離することにより、uPAがPlasminogen activatorとしての機能をふたたび示すことも確認した。これらのことは、uPAに対するinhibitor(PAI-1,PAI-2)が多く含有されているにもかかわらず、臨床的には予後不良とされてきた悪性腫瘍の報告を立証するものと考える。
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