1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精漿中イムノグロブリン結合因子の分子構造および生理機能の解明
Project/Area Number |
06671655
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鎌田 正晴 徳島大学, 医学部, 助教授 (60145018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二木 史郎 徳島大学, 薬学部, 助教授 (50199402)
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Keywords | イムノグロブリン結合因子 / 精漿 / 抗精子抗体 / 子宮頸管 / 頸管粘液 / 局所免疫 / 気管 / 喫煙 |
Research Abstract |
主任研究者らが、ヒト精漿中に見いだしたイムノグロブリン結合因子(IgBF,immunoglobulin binding factor)は、PWM刺激リンパ球幼若化反応を強く阻害することから、精子に対する抗体産性を抑制していると考えられる。またELISA法を用いた定量的検討により、IgBFは、外界との接触部位における局所免疫に関与していることを示唆してきた。さらに唾液腺に含まれるarginilendopeptidaseあるいはリンパ球の産生酵素であるtryptase TL1による、arg-Xの加水分解というIgBFの活性化機構の存在を明らかにした。本研究では、抗精子抗体産生抑制機序として、精漿中IgBFの、精子による女性内性器への持ち込みおよび局所産生の可能性を検討した。また引き続きIgBFの定量的検討を行い、生理学的および病理学的意義の解明を試みた。 1)抗IgBF抗体を用い、ヒト精子との反応性を検討した。homodimerに対する抗体は、精子凝集試験,不動化試験、さらに間接蛍光抗体法により精子との反応性を認めた。しかし、抗Leu-llb抗体を含むmonomerに対する抗体は、反応性を示さなかった。すなわち、精漿中のIgBFは、非活性のhomodimerの形で、精子付着抗原として女性内性器中に運び込まれることが明らかになった。 2)RT-PCR法を用いて、子宮頚管内膜、子宮内膜および卵巣における、IgBFmRNAの発現を検討した結果、子宮頚管内膜にmRNAの発現を認め、IgBFが、女性内性器局所においても産生されていることを明らかにした。 3)IgBFの遺伝子解析する目的で遺伝子のクローニングをおこなった。まず子宮頸管組織よりmRNAをグアジニン法によって抽出した。ヒトIgBFに特異的なプライマーを合成し、RT-PCR法で増幅したPCR産物をpBluescriptに挿入した。さらにPCR産物の両端部分を切断し、得られた断片のサイズを電気泳動によって確認した。 4)ELISA法により、気管分泌液中のIgBF濃度が、非喫煙者に比べ喫煙者では有意に高値であることを明らかにした。すなわち喫煙による化学的刺激や炎症などによりIgBFの産生量が変化することが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Daitoh, T.: "High implantation rats and consequently high pregnancy rate by in vitro tertilization - embrys transfer treatment in infertil month with antisperm antibody." Fertil. Stenil.63. 87-91 (1995)
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[Publications] Chowdhury, N.A.: "Conylement -inhibiting activity of human seminol plasma and semen quality." Arch. Androl.36. 109-118 (1996)
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[Publications] Nakaya, Y.: "Inducible nitric oxide synthase in uterine smooth muscle." Life Science. 58. 249-255 (1996)
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[Publications] Hirano, M.: "Significance of immunoglobulin binding factor as the sperm coating antigen." Proceedings of the 9th Annual Meeting of JSIR. 9. 25-26 (1995)
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[Publications] Yamamoto, S.: "IL-1α induces inducible nitric oxide synthase in uterine myometrium." Proceedings of the 9th Annual Meeting of JSIR. 9. 67-68 (1995)
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[Publications] Yamamoto, S.: "Demonstration of anti-fortility effect by biologically active antioperm antibodies and its failure by sperm - binding antibodies" Proceedings of the 10th Annual Meeting of JSIR. (in press).
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[Publications] Kamada, M.: "Immunocontraception" Ed. by 0. Nilsson and R. Mattsson, Ares-Seromo.Synposia Pub., 280 (1995)