1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671683
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 俊文 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (30051460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋場 剛士 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245553)
浅田 弘法 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60231883)
久慈 直昭 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80169987)
末岡 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90162833)
|
Keywords | X・Y精子分離 / SRY遺伝子 / PCR / FISH / DXZ-1 / DYZ-1 / Percoll遠心分離法 / α-satellite repeat sequence |
Research Abstract |
睾丸決定遺伝子(SRY gene)を用いて分離精子の性を遺伝子レベルで解析し、蛍光を用いた遺伝子プローブによるFluorescence In Situ Hybridization(FISH)法の手法を応用した解析と並行させて、確実な分離法の確立と、伴性遺伝病患者または保因者に対する疾患の発現阻止のためにこの分離精子を用いた生殖技術の確立することが本研究の最終的な目標である。これまでに血液細胞や羊水細胞を用いたSRY遺伝子のPCRによる遺伝子増幅と電気泳動による解析法を確立した。 まず、精子分離法として密度1.09より1.04まで0.05刻みの多層Percollによる密度勾配を作製し、遠心分離を数段階に分けて行うことでX精子を多く含む層を分離した。この分画について、FISH法を用い、XおよびY精子の含有分布を評価した。 性遺伝子の検出は、FISH法ではXおよびY染色体に特異的な遺伝子プローブとしてDXZ-1,DYZ-1を用いた。 さらに、単一細胞のDNA診断を実施する目的で、PCRには高い検出効率を有する診断法の検討を開始した。第一にSRY遺伝子に対するプライマーを作製し、少量の細胞DNAより性の遺伝子診断法を検討した。羊水細胞、リンパ球、および精子を用いて、稀釈法による細胞数に対する検出を検討した後に、マイクロマニピュレーターを用いて単一細胞を吸引サンプリングし、その検出について検討した。SRY遺伝子はsingle copyの遺伝子であるため、単一細胞での遺伝子増幅は安定性にはなお問題が残存した。Y染色体のヘテロクロマチン領域に残存する3000copyにもわたる繰り返し配列領域の塩基配列で新たなプライマーの設計による効率のよいPCR法を開発し、SRY遺伝子の増幅による検出率と比較した。その結果、単一細胞とくに単一精子でも95%以上の高い検出効率を獲得した。現在なお、単一の細胞遺伝子からでも安定した遺伝子解析を可能にするべく検討を行っている。
|
-
[Publications] 橋場剛士: "配偶子のDNA診断法についての一考察" 日本受精着床学会雑誌. in press (1995)
-
[Publications] 浅田弘法: "性染色体特異的遺伝子プローブを用いたX精子、Y精子の検出" 日本受精着床学会雑誌. (in press). (1995)
-
[Publications] 大澤淑子: "希薄精子浮遊液からの精子染色標本作成-セトリングチャンバーを用いて-" 日本受精着床学会雑誌. (in press). (1995)