1995 Fiscal Year Annual Research Report
胎児仮死予防につながる妊娠ヒト子宮筋細胞内Ca排出機構についての研究
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06671698
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
瓦林 達比古 福岡大学, 医学部・産婦人科, 助教授 (30142350)
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Keywords | 子宮筋 / 単離細胞 / Fura-2 / 細胞内Ca / オキシトシン / プロスタグランジンF_<2α> / プロスタグランジンE_2 |
Research Abstract |
オキシトシン、プロスタグランジンF_<2α>、プロスタグランジンE_2の子宮収縮増強作用の違いを理解するために、子宮筋細胞内遊離カルシウム濃度変化に及ぼす効果の違いについて比較検討した。方法は、まず妊娠21日ラット子宮より縦走筋束のみを採取し、細片化後コラゲナーゼ処理をすることにより縦走筋単離細胞を得た。得られた単離細胞に指示薬Fura-2を負荷し、細胞内遊離カルシウム濃度([Ca^<2+>]i)変化を測定した。なお、反応キュベット中の総細胞数を5×10^5個とし、5分間連続して測定した。その結果は次のようなものであった。5分間の測定においてコントロールの[Ca^<2+>]iは細変動しながら緩やかな上昇を示した。各作動薬の単離細胞[Ca^<2+>]iに及ぼす経時的効果は、細変動を持つ二相性を示す増加曲線として認められるが、その最大効果に達する刺激5分後の[Ca^<2+>]i変化を測定することにより効力を比較した。まず、オキシトシンにより惹起される[Ca^<2+>]iの上昇は0.1nMで認められ、10nMで最大効果に達した。またそのEC_<50>値は約1.4nMであった。次にプロスタグランジンF_<2α>による[Ca^<2+>]iの上昇は100nMで認められ、300nMで最大効果に達し、そのEC_<50>値は約250nMであった。更に、プロスタグランジンE_2においては1μMで上昇が認められ、10μMで最大効果に達し、EC_<50>値は2.8μMであった。以上の結果から、妊娠末期子宮においては、オキシトシン>プロスタグランジンF_<2α>>プロスタグランジンE_2の順で各作動薬の親和性が増加して細胞内遊離カルシウム濃度を上昇させ、延いては子宮筋の収縮力を増強していることが判明した。また、EC_<50>値の大きな違いから、各々の作動薬の子宮頸部と体部への効果の優位性の相違も示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyata, S., Lin, S. -H., Kawarabayashi, T. et al.: "Lactation and maintenance of ultrastructural plasticity of the supnaoptic nucleus in the ovariectomized rat." Brain Res. Bull.37. 405-409 (1995)
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[Publications] Kaneko, Y., Kawarabayashi, T., Sagimori, H., Tsukamoto, T.: "Changes in kinetic properties of oxytocin receptors in longitudinal muscle membranes of rat uterus during gestation." J. Mol. Recog.8. 179-183 (1995)
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[Publications] Lin, S.-H., Miyata, S., Itoh, T., Kawarabayashi, T., et al.: "Fos expression in the hypothalamic magnocellular neurons of rats during pregnancy, parturition and lactation." Neurosci. Res.23. 29-34 (1995)
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[Publications] Tsukamoto, T., Shojo, H., Yamaguchi, K., Kawarabayashi, T., et al.: "Effects of various stimulants on intracellular free calcium concentration of longitudinal muscle cells isolated from pregnant rat myometrium." J. Smooth Muscle Res.in press (1995)
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[Publications] 松尾直裕,瓦林達比古,京野和夫 その他: "超低出生体重児の短期および長期予後に関する臨床的検討." 福大医紀. (in press). (1995)
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[Publications] Kaneko, Y., Kawarabayashi, T., Ikeda, M., et al.: "Characteristics of rat uterus longitudinal muscle β-adrenergic receptors : changes in kinetic properties of the receptor during gestation." J. Mol. Recog.(in press). (1996)