1994 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ菌上気道感染症の免疫療法-粘膜免疫からのアプローチ-
Project/Area Number |
06671724
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
黒野 祐一 大分医科大学, 医学部, 講師 (80153427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重見 英男 大分医科大学, 医学部, 助手
茂木 五郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (20035190)
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Keywords | インフルエンザ菌 / 粘膜免疫 / 上気道感染症 / 鼻咽腔 / 外膜蛋白 / 細菌定着 |
Research Abstract |
1.PCR法を用いることによってヒト中耳貯留液および鼻咽腔液から高率に、インフルエンザ菌外膜蛋白のひとつであるP6-DNAが検出され、また、滲出性中耳炎の罹患がもっとも多い低年令の小児でとくにその検出率が高く、これまでに報告されていた以上に本菌が本症の病態に関与していることが示唆された。 (論文投稿中) 2.インフルエンザ菌全菌体を抗原として、アジュバントとともにマウスに14日間経口投与したところ、唾液中のIgA抗体価が著しく上昇した。また、同一菌株さらには菌株の異なるインフルエンザ生菌を鼻咽腔へ注入したところ、経口免疫群でその鼻咽腔定着が有意に抑制された。 (論文投稿中) 3.インフルエンザ菌より外膜蛋白を抽出し、これを抗原としてマウスに同様に14日間連日経口投与したところ、全菌体を抗原として投与した時以上に粘膜免疫が賦活され、唾液中さらに鼻咽腔液中のIgA抗体価が有意に上昇した。また、鼻咽腔へ注入されたインフルエンザ生菌の除菌率と鼻咽腔IgA抗体価には、有意の相関が認められた。これらの研究成績より、粘膜免疫の賦活によってインフルエンザ菌の粘膜上皮への定着を阻止し、中耳炎など本菌を病原菌とする多くの上気道感染症を予防しうることが示唆された。
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