1994 Fiscal Year Annual Research Report
癒着性中耳炎の真珠腫進展機序ならびに感音難聴発現に関する研究
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06671735
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60125036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 博之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90236076)
荒井 秀一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70193042)
関 哲郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50196945)
矢部 武 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00221648)
上出 洋介 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10177579)
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Keywords | 癒着性中耳炎 / 動物実験モデル / EGF / EGF-R / TGF / m-RNA |
Research Abstract |
癒着性中耳炎の成因と治療法の解明のため以下の実験をした。 動物実験:無菌的に耳管鼓室口を閉鎖させ、長期間飼育した群では、中耳腔に滲出液の貯留やコレステリン肉芽の形成がみられるが、鼓膜の癒着などの変化は極めて低い頻度でみられたに過ぎない。しかし耳管鼓室口を閉鎖しさらに中耳腔粘膜を障害した群においては、滲出液の貯留、コレステリン肉芽の形成の他に中耳腔に線維性結合織の増生が認められ、さらに鼓膜の癒着が観察された。また一方では中耳腔に肉芽の形成がなく、薄い鼓膜が全面的に癒着している症例もあった。これらの一連の実験より、肉芽形成にいたり癒着するものと、薄い鼓膜が癒着するもののあることが理解された。また耳管の換気不全という状態も重要であるが、さらにそれに加えるにガス代謝などの中耳粘膜の機能障害が大きな因子であることが理解された。 分子生物学的検討:真珠腫などでその局在がわかってきた上皮増殖能を促進する上皮細胞増殖因子(Epidermal Growth Factor:EGF)とその受容体であるEGF Receptor:ならびにReceptorがEGF-RであるTransforming Growth Factor:TGFについて癒着性中耳炎の各種組織タイプでin situ Hybridizationによりそれぞれのm-RNAの局在を調べてみた。癒着性中耳炎においては上皮下の組織の違いにより明確な差が見られた。すなわち上皮下に炎症細胞浸潤の見られる炎症性肉芽型では真珠腫と同様のEGFの発現が見られ、EGF-R、TGFも強く発現していた。しかし上皮下が炎症細胞のない線維性肉芽や硝子化型すなわち静止型ではEGFの発現はなく、またEGF-RやTGFの発現も弱かった。このことから上皮下に活動政の病変のある場合には、上皮の増殖がさらに活発になり真珠腫へ移行する可能性も示唆される。
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Research Products
(1 results)