1994 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン起因性眼内炎におけるLipid Aの役割
Project/Area Number |
06671751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤野 雄次郎 東京大学, 医学部・(病), 講師 (30143465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 敦 千寿製薬(株), 研究開発室, 研究員
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Keywords | エンドトキシン / Lipid A / ぶどう膜炎 |
Research Abstract |
エンドトキシン起因性ぶどう膜炎(Endotoxin induced uveitis:EIU)はグラム陰性細菌に存在するリポポリサッカライド(LPS)の全身投与により惹起される眼内炎症で、ヒトの急性前部ぶどう膜炎の実験モデルと考えられている。今回の研究ではLPSの部分構造であるLipid Aの眼内炎症における関与を調べ、LPSで惹起されるEIUと比較検討した。 今回、Lipid Aをラットの足踵に注射することにより眼内炎症を惹起することができたので、その炎症の程度を前房水の蛋白濃度と炎症細胞数を定量することにより評価し、LPS注射により起こる眼内炎症と比較した。眼内炎症はLipid A注射後24から30時間で最大となり、96時間でほぼ消褪した。Lipid AはLPSの1/5の濃度でLPS注射と同様の炎症が惹起された。炎症は用量依存性に強くなったが、100μg/kgの量で炎症は最大となり、その時の前房水の蛋白濃度は12mg/ml、細胞数は25000個/mlであった。一方、LPS注射では、前房水の最大蛋白濃度は12mg/ml、最大細胞数は5000個/mlであった。すなわち、蛋白濃度はいずれの群でも12mg/mlで、同じであったが、Lipid A注射ではLPS注射に比べ前房水中に5倍の細胞数が観察された。また、LPSで惹起される眼内炎症と比べて、炎症の性質に違いが見られたことは興味深いことと考えられ、その原因について、前房水中のサイトカイン、化学伝達物質を検討し、解明していく予定である。また、この結果はLipid Aの眼局所における炎症惹起性を調べる際の基礎的データになると考えられた。
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