1994 Fiscal Year Annual Research Report
gC欠損単純ヘルペスウイルス1型の宿主における免疫応答の解析
Project/Area Number |
06671768
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊野 祐司 九州大学, 医学部, 助手 (70211216)
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Keywords | Herpes simplex virus / glycoprotein C / herpetic keratitis / acute retinal necrosis / varicella zoster / Pst I |
Research Abstract |
再発性角膜ヘルペス発疾患者の角膜病巣より、gCを欠損した単純ヘルペスウイルス1型TN株を繰り返し分離しその性状について報告した。gCの欠損したTN株ウイルスおよびTN株ウイルス感染細胞は補体の存在によって傷害を受けることが明らかになり、gCはウイルス粒子自体およびウイルス感染細胞の存続に重要な装置であると考えられた。TN株のウイルスゲノムを解析したところgC欠損の原因はアミノ酸レベル以降にあり、280番目のコドンで翻訳が停止し、C末端の欠損した不完全なgCが産生されていると考えられた。標準株KOS由来gC遺伝子よりrescueしたTN株の組換えウイルスRTN(gC^+)を作成し、マウス前房内にTN株とRTN(gC^+)株を接種したところ、両ウイルス株で壊死性網脈絡膜炎の発症率および病理組織学的所見に差異はなかった。以上よりTN株は完全なgCを持たないために補体に傷害を受け易くなり、ウイルスの増殖は困難になっているが、一方ではヒト角膜およびマウス網脈絡膜に病原性をもつ特異なウイルス株と考えられた。以上をXXVII International congress of ophthalmology,Toronto,Canada,1994で発表した(演題名:Characterization of glycoprotein C-negative mutants of herpes simplex virus 1 isolated from a patient with keratitis)。同上内容はPathogenicity of Glycoprotein C-Negative Herpes Simplex Virus Type 1 in Herpetic Keratitis.Frontiers of Virology 3,Y.Becker G.Darai(Eds.)Pathogenicity of Human Herpesviruses due to Specific Pathogenicity Genes,Chapter 3.p.p.33-42,1994として図書に掲載された。 急性網膜壊死患者の前房水あるいは硝子体液から単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、水痘帯状ヘルペスウイルス(VZV)のウイルスゲノムの検出を試みた。結果はVZVのみ検出され、HSV-1とHSV-2は検出されなっかた。検出されたVZVが特殊な株(Pstl-site less mutation)であるか、通常の株(Strain having a Pstl site)であるかを解析したところ、通常の株であることが判明した。急性網膜壊死の原因ウイルスにVZVのPstl-site-less mutationが関与しているとの報告があるが、我々の結果は相反するものであった。以上をThird international symposium on ocular inflammation,Fukuoka,1994で発表した(演題名:Polymerase chain reaction and Pstl endonuclease digestion for detection of the Varicella-Zoster virus genome in ocular samples from a patient with acute,retinal necrosis)。現在Ophthalmic Research in pressである。
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