1995 Fiscal Year Annual Research Report
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06671780
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Research Institution | School of Medicine, Fujita Health University |
Principal Investigator |
小林 龍彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90186750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松澤 健夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30084502)
小川 久光 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (80101658)
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Keywords | オルニチンアミノ基転移酵素 / 脳回転状網脈絡膜萎縮症 / ミトコンドリア輸送 / サイトゾル因子 / 多段階プロセシング |
Research Abstract |
ミトコンドリアマトリックスに存在するオルニチンアミノ基転移酵素(OAT)の先天的欠損(常染色体劣性遺伝形式)によって引き起こされる高オルニチン血症を伴った脳回転状網脈絡膜萎縮症(GACR)の発症機序を解明する一環としてGACR患者OAT[Gln-90のGluへの置換(Q90E)を有する]の活性低下のメカニズムについて解析をおこない、以下の結果を得ることが出来た。 1.本疾患患者家系のOAT遺伝子第4エクソン(Gln-90を含む)の解析より本人および弟(本人と同じ脳回転状網脈絡膜萎縮をもつ)がQ90Eホモ接合体、母親、兄、妹がQ90Eヘテロ接合体であることが明らかになった。 2.Gln-90は異種(ラット、酵母、植物)OATにおいても良く保存されていた。またGln-90近傍にはOATの基質であるオルニチンの結合領域(His-92・Cys-93・His-92)が存在することよりGln-90はOATタンパク表面に露出していると考えられる。 3.点突然変異法によりAsn-89、Gln-90、Gly91を種々のアミノ酸に置換した変異体を作製し、バキュロウイルス発現系にて変異タンパクの解析をおこなった。その結果、いずれのアミノ酸においても極性(酸性、塩基性)アミノ酸への置換はQ90Eと同様、前駆体のミトコンドリアへの移行障害による活性低下を引き起こした。またwild type OATの発現において観察された中間体(46kDa)及び成熟体(45kDa)のN末端は各々Val-18、Thr-26であり、OAT前駆体(49kDa)は中間体を経て成熟体に移行することが明らかになった(多段階プロセシング)。 以上の結果よりGln-90とその周辺のアミノ酸は前駆体のミトコンドリア輸送において重要な役割(特にHsp70などのサイトゾル中の因子との相互作用)を果たしている可能性が強く示唆された。
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[Publications] Kobayashi T, Ogawa H., Kasahara M., Shiozawa Z., and Matsuzawa T.: "A single amino acid substitution within the mature sequence of ornithine aminotransferase obstructs mitoc hondrial entry of the precursor" The American Journal of Human Genetics. 57. 284-291 (1995)
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[Publications] Ogawa H., Hayashi N., Hori I., Kobayashi T., and Hosono R.: "Expression, purification, and characterization of recombinant C. elegans UNC-18" Neurochemistry International. (in press).