1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経生理学的手法を用いた仙骨神経・直腸肛門機能発達に関する基礎的並びに臨床的検討
Project/Area Number |
06671793
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
窪田 正幸 九州大学, 医学部, 助手 (50205150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 清一郎 九州大学, 医学部, 助手 (80243939)
水田 祥代 九州大学, 医学部, 教授 (30038856)
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Keywords | 体性感覚誘発電位 / 陰部神経 / 外肛門括約筋 / 誘発電位 / 直腸肛門機能 / 内肛門括約筋 |
Research Abstract |
初年度(平成6年)の基礎的並びに臨床的検討により以下の研究成果を得た。 1.基礎的検討 研究細目1.正常児並びに腸管機能不全症例よりの術中摘出腸管を用いた平滑筋細胞の神経支配発達様式の検討。研究成果:ヒルシュスプルング病5例(7ヶ月より1歳)の摘出大腸を用いた研究では、今回の検討年齢において加齢に伴う神経支配様式の変化は認められなかった。また、nitric oxide (NO)の関与に関する検討では、無神経筋部ではNO神経の関与は欠如していたが、神経節部ではその弱い関与が5例中2例に認められた。しかし、小腸においてはNOの関与は極めて大きく、腸管部位別神経支配様式の違いが確認された。 研究細目2.家兎摘出腸管を用いた胎生期を含めた直腸肛門部平滑筋細胞の神経支配発達様式の検討。研究成果:家兎内肛門括約筋の検討では、胎生期では興奮性神経有意であるものの、生後速やかな抑制性神経の発育が認められ、周産期における神経支配様式の変化が観察された。 臨床的検討 研究細目1.肛門管部刺激体性感覚誘発電位の検討。研究成果:慢性便秘12例と対照20例の比較検討では、肛門管電気刺激に対する頭部誘発電位は、慢性便秘症において発現率が有意に低下し、肛門管部感覚神経支配異常が示唆された。 研究細目2.経直腸的陰部神経刺激による体性感覚誘発電位並びに外肛門括約筋筋電図の検討。 研究成果:経直腸陰部神経刺激に対する仙骨部での反応は、外肛門括約筋電図との比較検討にて、外肛門括約筋筋電図並びにさらに深部の恥骨直腸筋などの括約筋群を含めた複合筋電図であることが判明した。小児陰部神経並びにそれに支配されている括約筋群の新しい機能検査法としてその臨床的意義は極めて大きいものと考えられた。術前ヒルシュスプルング病5例の検討では、対照8例と比較して、潜時の短縮、さらに同時性収縮現象など異常所見が見つかり、発達面においては、乳児期より仙骨部複合筋電図は明瞭に導出可能で、加齢に伴う潜時の延長傾向が認められた。
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[Publications] 窪田正幸: "肛門管誘発電位よりみた慢性便秘症の病態に関する研究" 日本外科学会雑誌. 95. 202 (1994)
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[Publications] 山中清一郎: "Hypogenesis of ganglia症における小腸壁内神経支配について" 日本外科学会雑誌. 95. 226 (1994)
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[Publications] 窪田正幸: "新しい腸管機能検査法としての肛門管誘発電位の検討" 日本小児外科学会雑誌. 30(4). 850 (1994)
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[Publications] 山中清一郎: "周産期における内肛門括約筋神経支配の機能的発達に関する研究" 日本小児外科学会雑誌. 30(4). 861 (1994)