1994 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルムス腫瘍癌抑制遺伝子産物WTIの細胞増殖因子MKの遺伝子発現に対する効果
Project/Area Number |
06671794
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野口 啓幸 鹿児島大学, 医学部, 講師 (80198580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 英夫 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50142427)
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Keywords | WT1遺伝子 / ミッドカイン(MK) / CAT アッセイ / トランスフェクト |
Research Abstract |
WT1遺伝子はWilms腫瘍の原因遺伝子の一つとされ、その遺伝子産物は細胞核局在性のZnフィンガー構造を有する転写制御因子である。現在までWT1遺伝子産物が制御する増殖因子が数種類同定されている。一方ミッドカイン(MK)は胎児性癌細胞に分化誘導をかけた場合一過性に発現を認めるヘパリン結合性増殖因子で、種々の悪性腫瘍で発現していることが確認されている。なかでもWilms腫瘍は著明なMKの発現を示している。我々の当初の目的はWTIがMKプロモーターに何らかの作用を及ぼすか、直接種々の培養細胞にWTIとMKプロモーターを含むレポーター遺伝子をトランスフェクトさせ検討することにあった。 (方法) ヒトMKプロモーター領域とクロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を融合させたレポータープラスミドを作製し、WT1遺伝子を含むエフェクタープラスミドとともに種々の培養細胞に遺伝子導入を行った。その後3日間培養を行い、その細胞抽出液中のCAT活性を測定した。 (結果) Wilms腫瘍細胞株G401およびマウス繊維芽細胞NIH3T3を宿主とした場合、WT1-KTS(-)遺伝子産物はヒトMKプロモーターの転写活性を抑制した。また分化傾向をしめすマウス胎児性癌細胞F9を宿主とした場合KTS(-)、KTS(+)ともMKプロモーターを抑制した。以上、今回の実験でMKがWT1遺伝子産物のターゲット遺伝子である可能性が強くなった。 (今後の展開) MKは分泌性の蛋白であるため、腫瘍マーカー(特にWilms腫瘍)として利用されないか現在検索中である。
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