1994 Fiscal Year Annual Research Report
口腔環境と顎関節立体超微細構造の関連性に関する電子顕微鏡的解明
Project/Area Number |
06671826
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
瀬川 和之 昭和大学, 歯学部, 講師 (60146868)
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Keywords | 顎関節 / 下顎頭軟骨 / 関節円板 / 走査電子顕微鏡 / コラーゲン細線維 / 線維配列 |
Research Abstract |
咀嚼機能や口腔状態などの逐次変化する外部環境への顎関節の適応を微細構造の面から検討するために,死体保存法に基づいて得られた成人遺体の下顎頭軟骨と関節円板を,主に走査電子顕微鏡を用いて観察した.成人下顎頭の光学顕微鏡観察では基本的に,線維層,増殖層,軟骨層と軟骨下骨に区分できた.上下顎の全歯が残存し,下顎頭の関節面彎曲がconvexである場合,下顎頭軟骨の線維層の厚径は厚く,増殖層は小範囲であった.軟骨層は細胞が少なく,トルイジンブルー染色では硝子軟骨ではなく線維軟骨様の染色性を呈した.組織所見では,全体的に細胞が少ないこと以外は老齢ラットのものと近似していた.軟骨層が加齢とともに成長軟骨〜関節硝子軟骨〜線維軟骨へと組織変化するのは,下顎頭軟骨固有の特徴である.線維層のコラーゲン細線維は,最表層では網状に,表層では束状で関節面に平行に,深層では関節面にほぼ垂直に配列されていた.また,増殖層では疎な網状の,軟骨層では立体的に不規則に交錯した束状の細線維構築を呈していた.X線分析画像では軟骨層-軟骨下骨境界面はほぼ平滑であった.一方,全歯欠損で,不適合な全部床義歯を装着していた成人の下顎頭の場合,関節面に凸凹が認められた.線維層の厚径は区々で,最表層の細線維網が部分的に集積して塊状化していた.増殖層と軟骨層はしばしば欠如していた.また,軟骨層が関節面側に過剰に形成されていたり,破骨細胞により骨髄側から吸収されている部分も認められた.軟骨の過剰形成部では細線維構築は密な網状を呈していた.X線分析画像では軟骨層-軟骨下骨境界面は不整であった.不適合な義歯の装着は,下顎頭に加わる負荷の均衡が損なわれ,下顎頭組織全体のリモデリングを招来する.関節円板では,同一平面上で関節面に平行に配列された細線維束が上下的に層構造を形成していた.この構造には全歯欠損による影響は認められなかった.
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Research Products
(1 results)