1995 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺アミラーゼ分泌の細胞内機序:cyclic AMPとCa^<2+>相互作用
Project/Area Number |
06671844
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Research Institution | Hokkaido Univ. |
Principal Investigator |
吉村 啓一 北海道大学, 歯学部, 助教授 (30000938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 幸治 北海道大学, 歯学部, 助手 (90261312)
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Keywords | 耳下腺アミラーゼ / cyclic AMP / カルシウム / イソプロテレノール / サブスタンスP / カルバコール |
Research Abstract |
耳下腺アミラーゼ分泌において細胞内でのcyclic AMPとカルシウム(Ca^<2+>)系との間でみられるアミラーゼ分泌の相乗効果のメカニズムにおけるカルシウムの役割をより直接的に明らかにするため、イソプロテレノール持続刺激時に外液のCa^<2+>濃度を増加したときみられるアミラーゼ分泌効果の時間変化を灌流系で解析した。 その結果外液Ca^<2+>の増加に反応して著明なアミラーゼ分泌の促進がみられた(Ca^<2+>効果)。このCa^<2+>効果の大きさは外液のCa^<2+>濃度に依存し、また細胞をあらかじめイオノマイシンなどで前処理し細胞膜のカルシウム透過性を増加した条件下で明らかに増大した。Ca^<2+>効果の大きさはPDBuの存在下で有意に増強したが、PDBuのみを用いたときにはイソプロテレノールとの間にアミラーゼ分泌の相乗効果はみられなかった。ところでこのCa^<2+>効果は外液Ca^<2+>の持続投与にもかかわらず長続きせず一時的であり、その時間変化はサブスタンスP(P-物質)やカルバコールなどによる時間変化に類似していた。なおFura-2を用いて測定した細胞内遊離カルシウム([Ca^<2+>]_f)は外液のCa^<2+>を増加した場合増加したがその効果は小さく、また持続的であった。従ってアミラーゼ分泌でみられた一時的な、しかも著明なCa^<2+>効果は[Ca^<2+>]_fの変化で説明はできない。なお、イソプロテレノールがないときには、外液のCa^<2+>を増加しても著明なアミラーゼ分泌分泌の促進はみられない。 以上の結果はCa^<2+>系とcyclic AMP系の間でみられるアミラーゼ分泌の増強効果が自体によるアミラーゼ分泌効果がCa^<2+>の作用をcyclic AMPが修飾することにより発現することを示す。またCa^<2+>その自体によるアミラーゼ分泌効果が一時的であることはCa^<2+>効果に対して脱感作が生じることを示唆する。従ってP-物質やカルバコールによるアミラーゼ分泌の促進効果が一時的であることの説明としてCa^<2+>の効果に対する脱感作が少なくとも一部関与している可能性がある。
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[Publications] 吉村 啓一: "灌流下での耳下腺細胞を用いて解析したphospholipase C-Ca^<2+>系アゴニストのアミラーゼ分泌効果の比較" 歯科基礎医学会雑誌. 36. 102- (1994)
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[Publications] 吉村 啓一: "Potentiation of amylase secretion between cyclic AMP-and calciummessenger systems in perifused rat parotid acinar cells." Jpn.J.Physiol.44. S54- (1994)
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[Publications] 吉村 啓一: "ATPの耳下腺アミラーゼ分泌効果;種々のアゴニストとの相互作用" 日本生理学雑誌. 56. 387- (1994)
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[Publications] 吉村 啓一: "cyclic AMP evokes potentiation of amylase secretion by modifying calcium effect" J.Dent.Res. 74. 569- (1995)
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[Publications] 吉村 啓一: "Is the carbachol-induced transient response of amylase secretion due to desensitization of secretory mechanism to calcium" Jpn.J.Physiol.45. S26- (1995)