1995 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro標本を用いた三叉神経中脳路核ニューロンのイオンチャンネル解析
Project/Area Number |
06671850
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
片倉 伸郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20185804)
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Keywords | ラット / 三叉神経中脳路核 / in vitro標本 / 舌活動 / 吸啜運動 |
Research Abstract |
前年度開発したスライス標本は三叉神経中脳路核ニューロンの細胞体と軸索突起の一部を標本中に含んではいるものの、同ニューロンの機能的作動様式を検討するためには同ニューロンを含めた神経回路網を無傷のまま持つin vitro標本が必要となった。そこで本年度は三叉神経中脳路ニューロン神経回路網中に含むin vitro脳標本の開発を行った。研究には新生ラットを用いた。エーテル麻酔下で上丘吻側端から第7頚髄まで脳幹一脊髄標本を摘出し95%O_2-5%CO_2混合ガスで飽和した人工脳脊髄液を灌流した記録槽中に設置した。ガラス吸引電極を用いて、三叉神経運動根(Vm)、舌下神経(Xll)、第4ないし5頚髄前根(C_<4-5>)から神経活動を記録するとともに、三叉神経感覚根(Vs)に電気刺激を加えた。一部の実験では、舌を含む口腔顔面器官を伴った摘出脳幹-脊髄標本を用いて舌筋電図活動ならびに舌運動を観察した。 本標本では、Vm、Xll、C_<4-5>から吸息活動に一致したリズミカルな自発性神経活動が観察されるとともに、Vsの電気刺激によってVm、Xllからそれぞれ神経斉射が観察された。灌流液中に興奮性アミノ酸のアゴニストであるN-methyl-D-aspartate(NMDA)を投与すると、C_<4-5>で持続性発射活動の増加が認められ、これに引き続いてXllから、C_<4-5>、Vm、Xllで観察された自発性吸息活動とは明らかに時間的発火パタンの異なるリズミカルな神経活動が誘発された。舌を含む口腔顔面器官を伴った摘出脳幹一脊髄標本を用いた実験でも、灌流液中にNMDAを投与すると、自発性吸息活動時の舌運動とは明らかに異なる、吸啜運動に類似したリズミカルな舌運動が観察された。今年度は、中脳路核ニューロンを含み、反射弓、さらにリズム運動を発現する神経回路を持つin vitro標本の開発に成功した。
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[Publications] Katakura N.: "NMDA-induced rhythmical activity in Xll nerve of isolated CNS from newborn rats." NeuroReport. 6. 601-604 (1995)
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[Publications] Katakura N.: "Sucking-like activity in vitro brainstem preparation from newborn rat." J.Dent.Res.74. 513 (1995)
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[Publications] Katakura N.: "Brain and Oral Functions Oral motor function and dysfunction." Morimoto T.,Matuya T.,Takada K., 648 (1995)