1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671860
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長濱 辰文 神戸大学, 理学部, 助教授 (70145001)
|
Keywords | アメフラシ / アセチルコリン / グルタメート / 二重支配 / アセチルコリン受容体 / IJP / クロライドチャンネル / 摂食筋 |
Research Abstract |
神経系が単純な軟体動物アメフラシを用い、摂食行動が発現する神経機構の解明をめざしている。これまでこの動物の閉口筋は伝達物質としてグルタメートを放出する興奮性運動ニューロン(JC)と、アセチルコリンを放出する抑制性運動ニューロン(MA1)により二重支配をうけていることが明らかになった。一方、閉歯舌筋はアセチルコリンを放出する興奮性運動ニューロン(B15,B16)により支配されている。本研究は、これら摂食筋におけるアセチルコリン、グルタメート応答に寄与する受容体、チャンネルの性質、および修飾物質によるそれらの調節機構を明らかにすることを目的とする。本年度は、種々の蛋白質分解酵素を用いて閉口筋細胞の単離を試み、これら標本にホールセルクランプ条件下、アセチルコリンにより誘発される応答のイオン機構を調べた。パパインを用いると短時間(1.5時間)で生理活性の高い細胞が単離でき、また再現性の良い結果が得られた。そこでこの条件下で閉口筋細胞を単離し実験を行った。コントロールとして適当濃度のClイオンを含むK・D-Aspartate(KAsp)溶液をパッチピペットの内液とした。刺激は細胞近傍へアセチルコリン溶液を含むピペットを置き、電気泳動的に行った。電流固定下、アセチルコリン刺激により細胞に過分極応答が発現し、これらはクラ-レにより可逆的に抑制された。ピペット内液をK電流を抑えるCaAspに置き換えても同様の応答が発現したが、細胞内Cl濃度を増やすKClに置き換えると応答の向きが逆転した。そこで電圧固定下、ピペット内液がKAsp、CsAsp、CsClの時のアセチルコリンで誘発される電流応答の逆転電位を求めた。CsAspではコントロール(-54mV)とほぼ一致したのに対し、CsClでほぼ0mVへと変化した。以上の結果、アセチルコリンで誘発される過分極応答ではClチャンネルを結合したアセチルコリン受容体が関与していると考えられる。
|
-
[Publications] T.Nagahama: "Acetylcholine-activated chloride channels produce an inhibitory junction potential in buccal muscle cells of Aplysia." Proceedings of the Royal Society of London Series B. 254. 275-280 (1993)
-
[Publications] T.Nagahama: "Ionic basis of acetylcholine-induced currents mediating hyperpolarization of Aplysia jaw-closing muscles." The Japanese Journal of Physiology. 43(S). S169- (1993)
-
[Publications] I.Inoue: "Cl^- channels as a cholinergic ACh receptor responsible for generation of inhibitory junction potential Aplysia buccal muscle cells." The Japanese Journal of Physiology. 44. S149-S155 (1994)