1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671865
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原田 秀逸 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (60128452)
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Keywords | 軟口蓋 / 舌 / 味蕾 / ラット / 哺乳類 / 大錐体神経 / 授乳 / 発育 |
Research Abstract |
成長に伴う軟口蓋味蕾の発達と分布の変化を組織学的に調べた。ラット(n=5)舌に分布する味蕾の数は、出生直後は94±12.8個でその後増加を続け、3週齢で196.4±18.3個に達するが、味孔を確認できる味蕾の数は出生直後は15.3%程度と極めて少なく、2週齢で92.4%に達することが分かった。これに対し、ラット軟口蓋に分布する味蕾は、既に出生直後に成熟した動物と同数の183.4±10.9個分布し、味孔を確認できる味蕾は出生直後に80%程度存在し、その後2週齢でほぼ94.7%にまで増加することが分かった。また、ラット舌有郭乳頭の味蕾数は出生直後には37.8±23.8個、4週齢で419.6±83.2個、さらに葉状乳頭では出生直後には味蕾が観察されず、4週齢で303.6±72.2個観察した。また、マウス(C3H)、ジャービルにおいても、味蕾の総数は異なるものの、軟口蓋味蕾と舌味蕾の分布の成長に伴う変化はラットと同様であることが分かった。さらに、霊長類であるマ-モセットの場合、味蕾総数で比較すると生後3日では茸状乳頭味蕾数が軟口蓋味蕾数の約3倍であったが、味孔のある味蕾の割合を比較すると軟口蓋82.4%、茸状乳頭60.1%で、マ-モセットにおいても出生直後は軟口蓋味蕾の方が成熟度が高い傾向にあることがわかった。また、マ-モセット舌茸状乳頭味蕾数が加齢に伴い緩やかに減少するのに比して、軟口蓋味蕾数は2カ月齢以降、加齢に伴う減少傾向が著しく、9歳では2カ月齢の約1/3に減少した。これらの結果から、哺乳類では出生直後からの授乳期において舌味蕾に先立って軟口蓋味蕾が成熟する傾向が認められた。このことは、授乳期における軟口蓋味蕾の果たす役割の重要性を示唆している。
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Research Products
(1 results)