1994 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌機構におけるチロシンキナーゼとCキナーゼのクロストーク
Project/Area Number |
06671867
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
市田 篤郎 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50001003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40095336)
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Keywords | チロシンキナーゼ / Cキナーゼ / チロシンリン酸化 / 唾液分泌 / 耳下腺細胞 / アミラーゼ分泌 |
Research Abstract |
1993年以降、膵外分泌細胞ではカルバコールやコレシストキニンなどの分泌刺激によって蛋白質のチロシンリン酸化が亢進すること、またチロシンキナーゼ阻害剤によってアミラーゼ分泌が低下することが相次いで報告された。他方、それ以前からカルバコールなどによるアミラーゼ分泌にCキナーゼが関与している証拠は多く、Cキナーゼを直接活性化するホルボールエステル(PMA)はカルバコールと同程度にアミラーゼ分泌を誘導した。このように膵臓では同一の分泌刺激がチロシンリン酸化とCキナーゼの活性化を引き起こすことから、両シグナル伝達系間のクロストークが考えられた。私達はまず、Cキナーゼとチロシンキナーゼの共通の基質であり、副腎髄質細胞でカテコラミン分泌への関与が示唆されているアネキシンIIに着目し、耳下腺アミラーゼ分泌におけるCキナーゼとチロシンキナーゼのクロストークを調べた。しかし、市販のアネキシンII抗体はウシおよびヒトのアネキシンとは交差するが、ラットのアネキシンを確認できず、ラット耳下腺にこの抗体と反応する蛋白質を確認できなかった。 そこで次に私達は、ホスホチロシン抗体を用いて免疫沈降法とウエスタンブロット法によりラット耳下腺のチロシンリン酸化蛋白質を検索し、カルバコール刺激によるリン酸化レベルの変化を調べた。その結果、ラット耳下腺細胞には40から200KDaにかけて多数のチロシンリン酸化蛋白質が存在し、カルバコールは80KDa蛋白質のチロシンリン酸化を強く亢進した。この変化が細胞内カルシウムの上昇によるものか、Cキナーゼの活性化によるものかを明らかにするため、A23187とPMAの効果を調べた。その結果80KDa蛋白質のチロシンリン酸化はPMAによって誘導され、Cキナーゼとチロシンキナーゼのクロストークの存在が強く示唆された。
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