1995 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌機構におけるチロシンキナーゼとCキナーゼのクロストーク
Project/Area Number |
06671867
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
市田 篤郎 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50001003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40095336)
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Keywords | チロシンキナーゼ / チロシンキナーゼ阻害剤 / ゲニステイン / 唾液分泌 / アミラーゼ分泌 / 耳下腺細胞 |
Research Abstract |
耳下腺アミラーゼ分泌におけるチロシンキナーゼの役割を明らかにするため、アミラーゼ分泌と蛋白質チロシンリン酸化にたいするゲニステインの効果を調べた。ゲニステインはイソプロテレノール(ISO)によるアミラーゼ分泌を濃度依存性に阻害した。分泌阻害は300μMで最大80%に達し、50%阻害濃度は約120μMで膵臓における値とほぼ一致した。ゲニステインは膜透過性のcAMPアナログによる分泌も阻害することから、その作用点はcAMP生成以降と考えられる。これらの阻害はゲニステインに特異的で、ダイゼインには阻害作用が認められなかった。ゲニステインはAキナーゼ活性を全く阻害しないことから、この分泌阻害はチロシンキナーゼの阻害による可能性が強く示唆された。 次に,分泌刺激やゲニステイン処理にともなう蛋白質チロシンリン酸化レベルの変化を調べた。分泌刺激およびゲニステイン処理をおこなった耳下腺細胞の融解液から、ホスホチロシンに対するモノクローン抗体を共有結合させたアガロースビーズを用いてホスホチロシンを含む蛋白質を免疫沈降し、7.5%のゲル上でSDS-PAGE後、ウエスタンブロット法でホスホチロシン含有蛋白質を検出した。ISOは耳下腺細胞の190kDs(p190)と210kDa(p120)の蛋白質のチロシンリン酸化を増強し、逆に90kDa(p90)のリン酸化を減少させた。p90の脱リン酸化はカルバコールやCaイオノフォアの処理でも見られたが、p190とp210のリン酸化はISOと膜透過性のcAMPアナログに特異的であった。ゲニステインはこれらのチロシンリン酸化を濃度依存性に低下させたが、ダイゼインは無効であった。これらの結果から、cAMPによる耳下腺アミラーゼ分泌機構に蛋白質チロシンリン酸化の関与していることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)