1994 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク分泌におけるCaイオンチャンネルとアドレナリン性受容体の機能相関
Project/Area Number |
06671874
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
阿部 公生 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (70076016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 正博 福岡歯科大学, 歯学部, 専修生
石橋 一成 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122768)
西浦 利博 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40140868)
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Keywords | Caイオンチャンネル / アドレナリン性受容体 / α-およびβ-受容体の機能変換 / Caイオンチャンネル阻害剤 / 顎下腺 / タンパク成分 / バイオアミン / コリン性受容体 |
Research Abstract |
第3世代のCaイオンチャンネル阻害剤(Ca拮抗薬)として,CdCl_2,ベラパミル,ニフェジピンおよびジルチアゼムを刺激薬投与の15〜30分前に腹腔内に用い,刺激薬にはバイオアミン類としてノルアドレナリン,アドレナリン,ドーパミン,フェニレフリン,チラミン,m-およびp-オクトパミン,6-および5-ヒドロキシドーパミンを,その他の刺激薬にはイソプロテレノール,ピロカルピン,フィサレミン,ベサネコール,クロニジンおよびメソキサミンを用いた。カテコールアミン類はアドレナリン性β_1-受容体(Re)を刺激する投与量を,フェノールアミン類はCa拮抗薬によりその作用が著しく抑制されるので抑制の解除される量を,その他の刺激薬は最適投与量を用いた。Ca拮抗薬の作用の判定は顎下腺の分泌唾液量およびタンパク成分の分泌動態から行った。4種類のCa拮抗薬は各種の刺激薬に対し大筋ではほとんど類似の作用を示すと思われるが,各刺激薬に対するCa拮抗薬の対応の仕方は非常に複雑であった。すなわち,α_2-Re刺激薬に対してはタンパク成分の分泌型には影響を与えなかったが,α_1-およびβ_1-Re刺激作用をもつバイオアミン類に対してはβ_1-Re作用の抑制と,逆にα_1-Re作用の促進が観察され,タンパク成分はβ型からα型に完全に変換した。しかし,メソキサミン,チラミン,ドーパミン,m-およびp-オクトパミンの水分分泌作用およびα_1-Re刺激作用は抑制された。また,コリン性およびペプチド性Reの水分分泌機能も抑制された。以上のことから,Caチャンネルは水分分泌に重要な機能を果たしているだけでなく,α_1-とβ_1-Reの両方を刺激する作用をもつカテコールアミン類の細胞内情報伝達系の機能振り分けに重要な関わりをもつと考えられた。平成7年度も継続する研究なので,これに関わるタンパク成分を明らかにしたいと考えている。
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