1994 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌放射線治療による後障害判定基準確立に関する研究
Project/Area Number |
06671880
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 惣平 大阪大学, 歯学部, 講師 (80173524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渕端 孟 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028728)
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Keywords | 頭頚部癌 / 放射線治療 / 後障害 |
Research Abstract |
頭頚部の放射線治療による5年生存率が60%近くになったが、同時に顎骨骨髄炎や多発性う蝕などの重度の後障害に遭遇する機会も増加している。しかしながらこの後障害についての総合的な研究はほとんど行なわれていないのが現状である。そこで、本研究では、照射線量一唾液腺の障害(唾液成分の変化)-う蝕活動性変化-顎骨への波及-顎骨骨髄炎(骨壊死)という大きな因子の関連性について、動物実験と臨床調査を同時に平行して研究を行ない、総合的な放射線治療後の後障害判定基準を確立させ、放射線治療患者に対する術後管理ならびに口腔衛生指導に役立てようとするものである。 まず始めに、非感染あるいはSPFのSDラットにう蝕誘発飼料2000を投与すると共に、生後30日目に現有の日立小動物X線照射装置にて頭頚部にエックス線を照射した。X線照射時には散乱線による全身的影響を避けるため厚さ1mmの鉛にてラット体部を保護した。この約50日後にラット唾液分泌能を測定した。さらに、プラーク指数およびう蝕スコアを調べ、唾液分泌機能との相関性について検討した。この結果、ラット頭頚部に照射した線量が増加するに従って、唾液排出時間は延長することが明らかになった。特に、50Gyの最大線量を照射した群では、唾液排出時間が著明に延長すると共に、う蝕の発生も有意に増加した。これのコントロール群として大唾液腺を摘出した群について同様の検討を行なうと、大唾液腺を摘出した群においてもその摘出の程度に応じて、う蝕発生頻度と程度が増加した。S.mutans非感染のラットにおいても大唾液腺の摘出により著明なう蝕の発生を認めた。
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