1995 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌放射線治療による後障害判定基準確立に関する研究
Project/Area Number |
06671880
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 惣平 大阪大学, 歯学部, 講師 (80173524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渕端 孟 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028728)
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Keywords | 放射線治療 / 後障害 / 頭頸部癌 |
Research Abstract |
頭頸部の放射線治療後に顎骨骨髄炎や多発性う蝕などの重度の後障害があらわれることがある。これらの後障害について、臨床的な報告は行われているものの、現在までに基礎的な実験研究は行われていない。本研究では、昨年度に引き続いて照射線量-唾液腺障害-う蝕活動性変化-顎骨への波及-顎骨骨髄炎という因子の関連性についてSPFラットを用いて動物実験を行った。 1、非感染あるいはSPFのSDラットに生後21日齢よりう蝕誘発飼料2000の投与を開始し、生後30齢に小動物X線照射装置にて頭頸部に15、25、35、50GyのX線を照射した。照射50日後にラット唾液分泌能、プラーク指数およびう蝕スコアを調べた。この結果、ラット頭頸部に照射した線量が増加するに従って、唾液排出時間は延長することが明らかになった。2、大唾液腺を摘出した群について1と同様の検討を行なうと、大唾液腺を摘出した群においてもその摘出の程度に応じて、う蝕発生頻度と程度が増加した。3、S.mutans非感染性のラットにおいても口腔乾燥症を発生させるとう蝕が誘発されることからS.mutans以外の細菌が多発性う蝕の主たる原因菌であることが予想された。そこで屠殺時に下顎骨から回収される最近を総細菌数、総レンサ球菌数、総乳酸桿菌数について検討したところ、乳酸桿菌の回収数が有意に高いことが明らかとなった。 以上の結果は、放射線照射による唾液の分泌の低下がう蝕の発生に極めて重要な役割を演じていることを示している。さらに、放射線治療の後障害として現れる多発性う蝕にはS.mutans以外の平常ではう蝕発生に関与しない細菌までもがう蝕発生に関与する可能性があると示唆された。
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[Publications] H.Fuchihata: "The Effect of Irradiation-induced Hyposalivation on Dental Caries Induction in Rats Fed High or Low-Sucrose Diet" Oral Radiology. 10. 29-33 (1994)
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[Publications] S.Furukawa: "The Effect of Irradiation-induced Hyposalivation on Caries Induction in Rats High or Low-Sucrose Diet" Proceedings of the 10th ICDMFR,Seoul,Korea 1994. 1. 456-459 (1994)
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[Publications] 古川惣平: "唾液腺悪性腫瘍の治療、唾液腺悪性腫瘍の放射腺治療" 歯科ジャーナル. 41. 109-114 (1995)