1995 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスと口腔癌発生の関連性を解明するための実験・病理学的研究
Project/Area Number |
06671885
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊東 博司 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 郁子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70136092)
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Keywords | アポトーシス / 口腔癌 |
Research Abstract |
本年度はまず,アポトーシスに陥った細胞の核に生じるDNA切断を検出する組織化学であるTUNEL法染色に昨年度生じていた染色結果の不安定性を改善するために,TUNEL法染色の諸条件を検討し,TUNEL法染色結果を常に安定化することを目指した。TUNEL法染色における試薬の濃度や反応時間を種々調節し,さらに,適切と思われる陽性・陰性対照群を含めて同染色を行ったところ,安定した染色結果が得られるようになった。すなわち,アポトーシスに陥っていると考えられている細胞と陽性対照とに常に陽性反応が観察され,陰性対照には陽性反応が観察されないという染色結果が得られるようになった。 ところで,口腔癌発生とアポトーシスとの関連を解明するためには,口腔癌発生母地となる組織の細胞増殖態度やアポトーシス関連癌遺伝子の発現状況をTUNEL法染色細胞の分布様式とともに解明べきであると思われる。これを,一枚の組織切片上で行うためには,TUNEL法染色と免疫染色を組合わせた重染色を行う必要がある。このような重染色の技法に習熟すべく,二重蛍光免疫染色を試みたところ,レーザー顕微鏡で定量観察可能なほどの良好な染色結果を得ることができるようになった。 次に,口腔癌の発生過程とアポトーシスとの関連を追究するため,ラットに口腔癌を発生させる実験;4-ニトロキノリン-1-オキシド(4NQO)の12週間連続投与を行った。投与終了ののち数週間経過を観察し,投与終了7週間後にラットを屠殺して標本採取を行った。採取時に肉眼観察したところ,舌に,不定形の斑状ないし軽度隆起性の病変が生じているのが見られた。現在,顎骨を含めた組織標本を作製しており,作製された標本でTUNEL法や免疫染色を行い,口腔癌の発生過程とアポトーシスとの関連を検討する予定である。
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