1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671916
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 敬志 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30173800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多川 知里 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90253210)
中西 正 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00217770)
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Keywords | 歯周組織破壊 / 免疫組織 / 多重染色 / 線維芽細胞 / 炎症浸潤細胞 / T細胞 / B細胞 |
Research Abstract |
可逆的な歯肉炎から不可逆的な歯周炎への移行にともないT細胞主体の病変からB細胞主体の病変へ移行すると考えられているが、実際これらの細胞がどのように歯周組織破壊に関与しているかは不明である。そこで、T細胞とB細胞がどのような関係にあるときに組織破壊が起こるかを、線維芽細胞を歯周組織破壊の指標として免疫組織学的に検討した。すなわち歯周外科処置時または歯周ポケット掻爬時に採取した炎症歯肉を用い、T細胞は抗CD3抗体、B細胞は抗CD20抗体、そして線維芽細胞はヘマトキシリンによる対比染色の多重染色により同一切片上でこれらの細胞を同定し解析した。 その結果、炎症浸潤細胞の増加にともないT細胞、B細胞ともに増加するが、T細胞は炎症浸潤細胞が少ないときより出現し、その後徐々に増加するのに対して、B細胞は炎症細胞数が約150cells/0.1mm^2になるまで出現せず、その後急激に増加することが明らかとなった。また炎症浸潤細胞に対するB細胞の割合が正の相関(r=0.702)を示したのに対し、T細胞の割合は負の相関(r=-0.595)を示した。線維芽細胞は炎症浸潤細胞の増加に従いその数が減少し、炎症浸潤細胞と負の相関(r=-0.583)を示した。またB細胞も線維芽細胞と負の相関(r=-0.489)を示したが、T細胞は線維芽細胞と有意な相関を示さなかった。 これらの結果より、炎症初期においてはT細胞が浸潤し、遅れてB細胞が浸潤するが、B細胞の増加はT細胞のそれより大きく、炎症の進行過程で炎症浸潤細胞中に占めるT細胞とB細胞の割合が逆転することが示めされた。また線維芽細胞は炎症浸潤細胞と負の相関を示し、炎症の進展に伴い組織破壊の進行することが示めされたが、この組織破壊はT細胞の増加には相関せず、B細胞の増加と相関したことより、歯周組織破壊はB細胞の浸潤が増加するような免疫応答と関連すると考えられた。
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Research Products
(1 results)