1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸4カルシウムを基材とするバイオセメントの骨誘導能に関する研究
Project/Area Number |
06671919
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉嶺 嘉人 九州大学, 歯学部, 助手 (80183705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 龍誠 九州大学, 歯学部, 助手 (20205008)
阿南 壽 九州大学, 歯学部, 助手 (80158732)
赤峰 昭文 九州大学, 歯学部, 教授 (00117053)
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Keywords | リン酸カルシウム / 骨誘導能 / バイオセメント |
Research Abstract |
1.4CPセメントはリン酸4カルシウムの粉末とポリアクリル酸-クエン酸の練和液を組み合わせたセメントであり、硬化後ハイドロキシアパタイトへと転換するという他のリン酸カルシウム系化合物にない特長を備えた生体新素材である。これまでの実験により、このセメントが優れた理工学的性質や生体適合性および骨伝導能を有することを明らかにしてきた。 2.このセメントを歯科用セメント、特に直接歯髄覆髄剤として応用できるかどうかを探る目的で、ラット上顎切歯を対象とする実験系において病理組織学的検索を行い、次のような結論を得た。すなわち、4CPセメントに接する歯髄表層は一過性に変性が認められるものの炎症性細胞の浸潤は軽微であり、新生象牙質により早期に修復されていた。これに対して、臨床で頻用されている水酸化カルシウム系のDycal応用時には、硬組織形成に先立ち歯髄壊死が生じていた。しかしながら、頭蓋骨欠損部への移植実験あるいは皮下組織への埋入実験などから明らかなように、4CPセメントには骨伝導能はあるものの、より積極的に骨形成を促す骨誘導能すなわち未分化間葉系細胞を骨芽細胞または軟骨芽細胞へと分化させる能力は認められない。そこで、4CPセメントを骨形成誘導物質(BMP)の担体として利用する可能性が考えられる。 4CPセメントにBMPを添加する場合、(1)顆粒状の脱灰骨を4CP粉末に加える。(2)皮質骨よりBMPの凍結乾燥粉末を作製し4CPに添加する(3)4CPセメントを移植した後、BMPを表面に塗布する などが考えられる。現在、(1)の方法でラット大腿骨より採取したBMPおよび(3)の方法で牛長管骨より採取したBMPの応用実験を遂行中である。
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