1995 Fiscal Year Annual Research Report
新規メタクリル酸誘導体を用いたデンチンプライマーの開発と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
06671925
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長谷川 篤司 昭和大学, 歯学部, 講師 (10180861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 貞 昭和大学, 薬学部, 教授 (70053808)
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Keywords | デンチンプライマー / キシリトール / メタクリル酸誘導体 / デンチンボンディング / コントラクションギャップ / 引っ張り接着強さ |
Research Abstract |
平成6年度薬学部薬品製造化学講座にて合成に成功し、その化学構造を赤外線吸収スペクトルによって確認されたキシリトールメタクリレート(XM)を用いて平成7年度歯学部保存修復学講座研究室にて5〜55%XM水溶液からなる試作プライマーを調製した。これらプライマーの象牙質接着性に与える効果を象牙質円柱窩洞におけるコントラクションギャップの観察および象牙質平面に対する引っ張り接着強さの計測によって評価した。象牙質窩壁および象牙質平面の清掃には健全象牙質を脱灰することが少なく、現在最も有効にスミア-層を除去しうる0.5MEDTAを用い、各試作プライマーで処理した後、機能性モノマー(MDP)を含む市販ボンディング材(Clearfil Photo Bond)を介してコンポジットレジン(Silux Phus)と接着させた。この結果、30〜50%XM水溶液でプライマー処理したすべての試片で象牙質円柱窩洞に対するコンポジットの完全な辺縁適合性が観察された。象牙質平面に対する引っ張り接着強さは16.5±4.6MPa[5%],12.7±3.4MPa[15%],14.9±4.6MPa[25%],16.8±5.8MPa[35%],20.9±4.1MPa[45%],21.6±5.0MPa[55%]であった。本研究では、新規合成されたXMの30〜50%水溶液はデンティンプライマーとして優れた効果を発揮し、コントラクションギャップフリーボンディングシステムを構成しうること確認され、これら接着の永続性の指標としての初期引っ張り接着強さも十分であることが明らかとなった。しかしながら、臨床応用に先立ち、皮膚組織に対する副作用について十分な検討が必要と考えられる。
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