1994 Fiscal Year Annual Research Report
顎機能異常者における咀嚼筋群の協調活動様式に関する研究
Project/Area Number |
06671940
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学部, 助教授 (30178644)
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Keywords | 顎機能異常 / 筋電図 / 咬合力 / 外側翼突筋 / 内側翼突筋 / 咀嚼筋 |
Research Abstract |
顎機能異常者では、咬筋や外側翼突筋などの運動痛や圧痛が高頻度で観察される。しかしながら顎機能異常者における咀嚼筋群の活動様式が正常者とどのように異なっているのか、特に症状を呈している筋の活動様式に関しては未だ不明であり、そのため咀嚼筋筋電図を用いた顎機能異常の診断方法は確立されるに至っていない。そこで本研究では、被験者の発揮する咬合力の大きさ、方向を3次元に規定した条件下で咀嚼筋筋電図を記録し、顎機能異常者の咀嚼筋活動様式を正常者との比較において明らかにすることを目的とした。 平成6年度は、正常有歯顎者5名を被験者とし、左右側の咬筋、側頭筋、顎二腹筋前腹から表面電極にて、内側および外側翼突筋からワイヤ電極にて筋電図を導出した。被検動作は3次元咬合力計により規定した。これらの結果、咬合力方向の調節における咬筋と側頭筋の相反的作用の知見に加え、内側翼突筋と外側翼突筋は、前方および反対側への咬合力方向の調節に関与していることが明らかとなった。このとき、それぞれの筋は、前方方向では咬筋活動と、側方方向への調節においては反対側側頭筋活動と協調した活動様式を示した。しかし外側翼突筋では、他筋に観察される筋活動量と咬合力との比例関係は認められなかったことから、外側翼突筋活動は直接的な咬合力発現には関与せず、咬合力方向の調節ならびに咬合力発揮時の関節頭の安定に寄与していることが示唆された。一方、内側翼突筋活動はいずれの被験者においても咬合力の大きさ、方向の調節に関してきわめて高い規則性を示した。これは内側翼突筋の形態的特徴、特に付着部位や走行と咬合点との関係における被験者間で差違が小さいという生体力学的観点に基づくことが考えられた。次年度は顎機能異常者での同様の実験を行い、その筋活動様式の特徴を明らかにする。
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