| Research Abstract |
今年度は,歯科補綴物における異種材料間のモード1(開口型)界面破壊靭性に関する試験方法をさらに策定するために,オペーク陶材/メタル界面の他に接着性レジン/メタル界面をも対象に,特に試験片の形状寸法に注目し検討した.オペーク陶材/メタル試験片では,厚さ1.5mm(ただし,オペーク陶材層:0.5mm),幅5mm,長さ40mmの寸法に,厚さは同じで,幅,長さを3mm,30mmのものをも加えて試験片の小型化についても検討した.さらに,焼付面のあらさも変化させてその影響についても検討した.接着性レジン/メタル試験片では,厚さ3mmと4mm(メタル板:1.5,1.2mm,接着性レジン層:70μm),幅5mmと10mm,長さ50mmの寸法とした.試験片の片側界面には,8〜20mmの初期き裂を付与した.なお,オペーク陶材/メタル試験片では,メタルに非貴金属合金と貴金属合金を用い,接着性レジン/メタル試験片では非貴金属合金だけとした.試験は,き裂付与側のメタル両表端部に接着したピン負荷用ブロックを介して引張荷重を加え行った.その結果,オペーク陶材/非貴金属合金試験片の破壊靭性は貴金属合金の場合よりも高い値となり,従来の試験法による評価とは逆の結果が示された.また,3mm幅の試験片でも有効であることが分かった.メタル焼付面のあらさの影響については,サンドブラスト処理では,破壊靭性値に及ぼす砥粒の大きさ(50,125μm)による影響は認められなかった.しかしながら,サンドペ-パ-処理(♯40)の場合には,破壊様相も界面破壊と凝集破壊が縞状に出現する混合破壊として観察され,破壊靭性値も向上しその効果が認められた.接着性レジン/メタル試験片の場合には,初期き裂長さは15〜20mm,幅は5mmのが好ましく,厚さには特に影響されないことが分かった.以上の結果から,この試験法は界面特性を評価するために有効であることが分かった.
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