1994 Fiscal Year Annual Research Report
寝たきりおよび痴呆老人の咀嚼機能改善後の全身状態の変化に関する研究
Project/Area Number |
06671957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沖本 公繪 九州大学, 歯学部, 講師 (00037532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 浩一 九州大学, 歯学部, 助手 (30229421)
諸井 裕子 九州大学, 歯学部, 助手 (90192286)
寺田 善博 九州大学, 歯学部, 教授 (30038898)
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Keywords | 咀嚼機能 / 高齢者 / 咬合力 / ADL / 残存歯数 / 精神機能 |
Research Abstract |
障害高齢者に対する身体的・精神的なリハビリは、種々の施設で実施され、効果が認められているが、生命維持のために基本的に重要な行為である咀嚼・その機能に対するリハビリは全くなされていないのが現状である。我々は寝たきり老人や痴呆老人の咀嚼機能の改善が、全身状態の改善すなわちリハビリ効果として有効であることを明らかにするために本研究を計画した。 まず個人差、集団差の大きい高齢者の咀嚼活性の概要を把握するために、異なる環境集団として、老人ホーム入居中の高齢者86人と入院高齢者123人(寝たきり、痴呆老人を含む)の調査、比較を行なった。調査項目は、咀嚼機能を判定する指標として、残存歯数や使用義歯の評価、咀嚼可能食品に加え、咀嚼環境を神経系にフィードバックし、それが間接的に反映される咬合力および義歯を含む口腔内の汚染度を対象とし、また全身障害度を判定するために、リハビリ領域で活用されているADL(日常生活活動能力)や最大握力、さらに精神機能の低下状態を知るために、長谷川式簡易知的機能評価テストと浜松方式簡易痴呆診断テスト(かなひろいテスト)を実施し、集団間の比較を行った。 最大咬合力、現有歯数、咀嚼可能食品、口腔内メインテナンス、ADLすべてにおいて、入院高齢者よりもホーム入居高齢者の方が状態は良く、その差は統計的に有意であった。また精神機能状態もホーム高齢者の方が障害度は少なく、以上の結果から、咀嚼活性は全身状態に反映されていることが明らかになった。
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